ヒメアノ〜ル/古谷実

ヒメアノ~ル(1) (ヤンマガKCスペシャル)

ヒメアノ~ル(1) (ヤンマガKCスペシャル)

ヒミズ以降、繰り返し同じテーマを少しずつずらすように描いてきたように思える古谷さんの最新作は、やっぱり、同じテーマなのだと思う。

僕は不満だ
何に不満かというと この何もない毎日に
何者にもなれず 何かを成し遂げようという気配すらない
自分自身に
【第一話】

そんな主人公は、友人が一目ぼれした相手のストーカー対策に協力することになり、例によって、その女の子がかわいくてそして、主人公を好きになる。
その背後にはやはり「悪い予感」が平行して描かれている。
ただそこにいるのが、主人公と裏表のような男である点が、今後これまでとずれていく点になるのだろうか。
茶沢さんを希望にはできなかった「ヒミズ」、南雲さんの後を描いて終わった「シガテラ」、女の子(羽田さん)側からの視点が多く入り、主人公が希望につなぎとめられる「わにとかげぎす」。そしてこの「ヒメアノ〜ル」はどこに行こうとしてるんだろう、と先に期待する部分とともに、どうしても「かわいい女の子がいればそれで解決するのかな」という点にひっかかってしまう。