三角コーナー

朝の電車では、ドア脇の三角コーナーにおさまって本を読んでいることが多い。
三角コーナーとは、椅子との間のしきりと、ドア脇の細い手すりとを結ぶ三点でできた、座席の次に人気のあるコーナーだ(たぶん)。

私は普段、その仕切りと手すりとの間の壁に肩をはめるような感じで立っているのだけど、そうすると、次の駅で乗り込んできた人が、今度はその細い手すりに寄りかかる、という確率がとても高いことに気がついた。
つまり、仕切りとその人の背中にぴったり挟まれた状態になって、本は読めなくなる。でもまあそれはいい。
しかし、私が普段通勤に使っている路線は、朝も車内が比較的すいているので、そのように密着しているのは車内で私たちだけ、ということになる。
これはとても気まずい。満員電車なら気にもならないことが、すいている車内だとなぜこんなにも恥ずかしいのか。
けれど、背中の人はそんなことを気にするそぶりもなく、手すりに寄りかかって本など読んでいる。新聞のこともある。
そのサンド率があまりにも高いので、最近、三角コーナーに立っている人をみかけるたびに、手すりに寄りかかれるかを確認してしまうのだけど、自分から行くにはどうも近すぎて恥ずかしい感じがするので、もしかして朝の私は透明なんじゃないかと思う。