今 敏監督のこと

今 敏監督の作品を初めて見たのは「PERFECT BLUE」だった。
エヴァンゲリオン」がTV放送され、再放送などで話題を呼んでいた頃だったと思う。雑誌の「PERFECT BLUE」評を読んで気になって、ビデオをレンタルしてきたのだった。
その評が載っていた雑誌が何だったかは忘れてしまったけれど、白黒の四段組くらいのページで、とても熱のこもった評だったのを覚えている。そして、見終わった後は私も、「アニメってすごいよ…!」といろんな人に、言って回りたい気分になった。
それまでなんとなく「子ども向け」というイメージで捉えていたアニメを、アニメだからできる表現が見たくて見るようになったのは、今思えばこの作品がきっかけだったように思う。それからは、わりといろんなアニメを見るようになり、好きな作品も増えていったけれど、今 敏監督はいつも“特別”だった。
監督の名前で売れるアニメ映画といえば、ジブリ押井守監督、大友克洋監督くらいだった頃から、「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」と素晴らしい作品を発表し続け、唯一のTVシリーズである「妄想代理人」にしても、今 敏監督はずっと、その名前がジャンルになっているような監督で、すごくかっこいいなと思っていた。
どの作品も、見終わるたびに監督の作ったものをもっと見たい! と興奮した。自分が何か面白いものを見聞きして、それを映像化してほしいなーって思うときにはまず一番に名前が浮かんだ。絶対に、私が想像もつかないような絵を、見せてくれるだろうと思える監督で、もっと違う一面をみて見たいし、いつか見せてくれるだろうと思っていた。

「パプリカ」の感想に、私は「今敏監督の、想像力と、それを映像としてアウトプットできる才能に驚かされっぱなしだ。監督の手のひらで飛び回っている気分で、それがあまりにも楽しい」(id:ichinics:20061202:p1)と書いた。
あの世界に、頭の中に、もう触れられないということがとにかく残念で仕方がない。
本当に、大好きな監督です。

制作途中であったという「夢見る機械」の完成と公開を願っています。

「夢見る機械」HP

http://yume-robo.com/