未来

家で過ごすのは好きだけど、先々の予定が見通せないという状態は落ち着かない。
1週間後ですらどうなっているのかわからない現状と、しかし時間はあるのだから何か有意義なことをしたい……という漠然とした焦りとの狭間で、コーヒーを飲んだり、Netflixを眺めたり、何を食べようか考えたり、散歩をしたり、風呂で本を読んだり、荷造りをしたり仕事したりしている。

少なくとも月末には引っ越しをする、という短期的目標があるからまだ良いけれど、そうでなければ私はこの、のちに何色になるのかわからない、現状空白の月をどう過ごしてよいかわからなかっただろう。
「常に自分が感染者のつもりで、他人に感染させない行動をする」
という目標については、少なくとも在宅勤務をしている限りはほぼ食料品を買いに行くくらいに外出しないし、実行できているような気はする。

それ以外に今の自分ができることは、ほとんど思いつかない。
仕事の依頼先とも「こんな時なので」という挨拶が定型分のようになっている。

家族とはよく電話をするようになった。
両親ともにクリスチャンなのだけど、彼らも緊急事態宣言が出る前は「日曜の礼拝だけは行きたい」なんて言っていた。
両親は別々の教会に通っていて、父のそれはなんと大学の頃から通い続けている場所だ。
昨年父が病気をしたときも、教会の人たちが心配してくれていたことが、ずいぶんと父の支えになっていたようで、だからこそ行くなとは言いづらかった。
それでも、日に日に状況が悪くなっていき、やはりやめておいた方が良いのでは……と日曜の朝に電話をしてみると、父も母も家にいた。
なんと、礼拝がオンライン配信になったとのことで、父は昨晩からTVにそれを映すための準備をしていたらしい。技術の進歩は素晴らしい、と思ったことのひとつだ。

ちなみに、父が大学の頃から、つまり50年ほど通っているその教会には、私も10歳くらいまで通っていた(家から遠いので小学校に上がってからはあまり行ってない)。

もう亡くなっている当時の牧師さんには、ナルニアを貸してもらった恩がある。毎週1冊づつ借りて、母に読み聞かせてもらっていた。最初は「魔術師のおい」からだった。
母はしばしば寝落ちして、けれど続きが気になりすぎて自分で読もうとしたことが、私が分厚い本も読めるようになったきっかけだったと思う。

新しい家で、早く本棚に本を並べたい。