夏休みのケーキと母の料理

夏休みの半ば、7月生まれの私と8月生まれの弟の誕生日祝いという名目で実家に顔を出した。

弟妹と最寄駅で待ち合わせ、駅前のケーキ屋に寄る。
まず自分達の食べたいものをひとつずつ選び、父と母用にもひとつずつ選ぶ。
父は昔からショートケーキかチーズケーキとわかりやすいのだけど、母の場合は気分次第だ。今日は何気分だろうねということを相談しながら選ぶ。

まだまだ感染症の流行下にある中、高齢者と妊婦がいる場所に集まって大丈夫なのか少し心配だったけれど、親は7回目(もうそんなになるのか)のワクチンを受けてきたばかりとのことで少し安心した。

親の年齢のこともあるけれど、自分も病気をしてからはいつまでも元気なわけじゃない(幸いなことに今現在は元気だけれど)と思うようになり、家族が集まれる機会にはなるべく顔を出そうと思うようになった。
できれば自分たちが子どもの頃にしてもらったような「親戚の集まり」を、甥っ子たちにも経験してほしい気持ちもある。そんなことを弟や妹と話したりもする。


食事の後、購入してきたケーキを開ける段になって、まず母にどれが誰用のかをあててもらう流れになった。
ショートケーキは父、モンブランは弟、は我が家では鉄板だ。
残りはいちごのタルト、ブルーベリーのタルトとヨーグルトムース。
結果的に妹がいちごのタルトまでは正解して、残りの2つが逆になった。私がヨーグルトムースだったのだけど、母は、低カロリーっぽいものということでそれが自分用だと思ったらしい。
私的に、タルトは冬のお菓子、というイメージなのだけどそれはまったく共感されなかった。

食後には母と弟妹、私で少しゲームをする。
ゲーム名は不明だが、お題を出して、それに当てはまるものを各自5つ書き、ほかの人と被ったら高得点、というゲーム。
その中で、母の出したお題が「自分の(母の)料理といえば」というものだった。
これがもう、面白いくらい被らなかったんだけど、それでも「あったね〜」の連続で楽しく、母も嬉しそうだった。

出たのは、カステラ、ムサカ、豚茶漬け、オムレツ、ミートソース、お好み焼き、コロッケ、いなり寿司などなど。

個人的な発見としては、1人暮らしを始めて「自分でよく作るようになったもの」を入れ忘れており、それはもう自分の料理になってるんだなと思ったりした。
一方、私は現在オーブンを持っていないため、母の料理として思い出すものの多くはオーブン料理だった。そういえば、子どもの頃はよく、食器棚とオーブンの間に挟まって何かが焼けるのを待っていたものだ。

今は実家にもオーブンはないのだけれど、たまに妹の家に行って一緒にケーキを焼いたりしている。
その、何かが焼けるのを待っている時間に「家」の感触がある。