トゥモロー・ワールド

(ネタばれあります)
監督:アルフォンソ・キュアロン
人類が生殖能力を失い、子どもが生まれなくなった世界で、鎖国しているイギリスの物語。
見に行こうとおもった最初のきっかけはこちら(http://movie.maeda-y.com/movie/00831.htm)の記事(ネタばれありです)だったのだけど、この記事の中で触れられているシーンにしろ、冒頭のワンカットワンシーンにしろ、銃撃戦にしろ、ものすごい迫力で、確かに圧倒され、何度も息をのんだ。
でも残念ながら、物語はよくわからなかった。
まず、「子どもが生まれなくなった」世界はなぜ鎖国しなきゃいけないほどに混乱しているのか、というところから不思議だった。絶望的な未来だというのはわかるけれども、いったい、彼等は何を奪い合っているんだろう*1。映像を見ていると、人間以外の動物には「正常に」子孫が生まれている。それなら、これは「地球のおわり」じゃなくて、種としての「人」の絶滅を問うべき状況であり、だとすると、この世紀末的な/人をまるで海に飛び込むレミングのように描くやり方には違和感があった。この設定だからこそ、むしろ語るべきことを他に、個々人の物語に、期待してしまって、テロや紛争というのが用意された仕掛けに思えてしまったのかもしれない。
そんなことを考えながら、あの8分間のワンカットワンシーンに遭遇した。それはドキュメンタリー映画でよく目にするあの一人称の追い方ではなく、銃撃戦の中を移動する主人公を追うことで、これがとても複雑で精密な「仕組み」なのだということを示しているように私は思った。

*1:そこが謎だったので、もしかしたらオチはイギリスこそが檻に囲われてたんでしたということなのかと思ってたけど、妄想し過ぎだった。