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 サイボーグでも大丈夫

ichinics2007-09-28
監督:パク・チャヌク
ファンタジーをパク・チャヌクが撮るとこうなります、という、どこか実験的な風味の残る作品だったと思います。「復習三部作」で、わりと残酷なお話を描いてきたイメージからすると恋愛ファンタジー&コメディなんて意外なようだけど、いざ見てみると「親切なクムジャさん」の、特に冒頭部分と近いところがあって、違和感はない。ああこういうのをやってみたかったのかな、とか思う。舞台、というか漫画っぽい構図や人物配置で作り込まれた画面はとても楽しくて、演劇的な演出が映える。
物語は、自分がサイボーグであると信じ、食事を摂らなくなってしまった女の子と、精神病院で出会った男の子のやりとりを描いたもの。この主人公の女の子は、エキセントリックな役柄を自然に、楽しく演じていてとてもよかった。特に泣き顔がかわいくてね…。よし、なんとかしてあげたい!て思ってしまうような魅力があった。
ただ、この女の子に恋する男の子のことが、私にはよくわからなかったのが残念だ。
この映画の雰囲気は「恋愛睡眠のすすめ」(id:ichinics:20070504:p1)ととてもよくにていて、ちょうど男の子と女の子のキャラクターを入れ替えた感じだった。しかし、この映画のヒロインに恋する男の子の病の設定が、いまひとつ曖昧に感じられた。例えば、物語の中盤で、ヒロインの感情を請け負う場面があるのだけど、それが誰の感情なのか、もうちょっとはっきり描いてもよかったんじゃないかな、とか。もちろん、あの作り込まれた映像は、この物語全体が比喩であるということなのかもしれないけど、だとしても物語の視点が男の子の方に移る切り換えが曖昧だったように思う。もしかすると、韓国語がわかってみていたら印象が違うかも、と思う場面もあった。
ただ、この女の子が、男の子に受け入れられることで、一歩をふみだすあのクライマックスは、とても印象にのこりました。うそでもいいんだ。いまのいま。それを約束してくれるだけで自由になれる。そんな切実さを感じられた。
なのであそこで終わってもよかったんじゃないのかなあ、と、おもいます。
それにしても、この監督はヒロインを魅力的に描くのがうまいなあ。かわいいだけじゃなくて、すこしグロテスクなところがいいんだな、たぶん。クムジャさんまた見たいです。