「ペット」リマスター版発売!/三宅乱丈

ペット リマスター・エディション 1 (BEAM COMIX)

ペット リマスター・エディション 1 (BEAM COMIX)

『ペット』のリマスター版を読みました! 書店で見かけたときは新装版かーと思って、スルーしてたのですが、帰ってきて

全編にわたる改稿と150ページ以上の描き下ろしクライマックスを加えた「完全リマスター・エディション」

だと知ってあわてて買った。そういうことは帯の前面にもっと大きく書いといて欲しいなー!(一応書いてあったけど)
『ペット』は連載当時から毎回「なんだこれ!!」と思いながら読んでいて、今でも面白い漫画は、ときかれたらパッと思いつくタイトルのひとつです。
個人的に、三宅乱丈さんの漫画は、ちょっと生々しいとことか苦手なときもあるんだけど、『ペット』は別格*1。その設定も、語り口も、今までに読んだことない感触なのに、流れるコマにいつのまにか引っ張られている感じ。

人は「ヤマ」と「タニ」を持っている。
「ヤマ」とは、その人を支え続ける記憶が作った「場所」であり、「タニ」とは、その人を痛め続ける記憶が作った「場所」である。
人が持つ数ある記憶の「場所」の中、このふたつの特別な「場所」にのみ、「彼ら」はそういう名前をつけた。(2巻まえがき)

『ペット』は、この「ヤマ」と「タニ」と呼ばれる記憶に触れることのできる能力者のお話です。
もちろん見た事のない能力なわけですが、見てればわかるからと言わんばかりの冒頭から飛ばしてく構成がかっこいい。たぶん、読者にイメージさせるのがうまいので説明も最小限になり、緊迫した展開に勢いがつくのだと思う。
能力者の1人が、「自分で記憶を作れない」感覚について話す場面があるんだけど、こことかほんと、うまいなーと思った。
もちろん、この「能力」の設定だけが面白いわけじゃなく、それを使った攻防戦が読みどころなので、SFというよりはサスペンスものの印象が強い。
ちょっと『パプリカ』とイメージが近いかな。だからってわけじゃないけど、ぜひ今敏監督にアニメ化して欲しいです…!

そしてリマスター版。これがまたすごくて、全5巻の予定でまだ2巻までしかでてないんだけど、この段階でもかなり手が入れられてることがわかります。あらすじはそのままに、組み立てなおしているというか、5巻を1本として描きなおしたってことだろうな。
もうほんと面白いので、早く続きが読みたい…!

ペット リマスター・エディション 2 (BEAM COMIX)

ペット リマスター・エディション 2 (BEAM COMIX)

*1:もちろん『イムリ』とか他にも面白いのあるけど