「ル・ポールのドラァグ・レース 」S6からS11の感想

春にはまって以来、相変わらず「ドラァグレース」を追いかけ続けている毎日です。
S11が終了した寂しさもつかぬま、クィーンたちのワールドツアー「Werq the world」のバックステージドキュメンタリー配信がスタートし(WOW plus)、10月からはドラァグレースUK、そのあとにはオールスターズ5とS12も控えていることが発表になって楽しみが尽きません。

これだけ次が控えているとなると、新たに追いかけはじめるのにも絶好の機会だと思うんですよね。
はまる気で行くならS1から見るのがおすすめですが、まだわからないな…というときは気になるクィーンがいるシーズンから見るのも良いと思います。
好み別のおすすめはこんな感じでしょうか(注:あくまでも私の印象です)

ネタばれは避けたい→S1(&ウィキペディアを見ない(いきなり優勝者の写真が出ます))
ファッションチャレンジがたくさんみたい→S3、S7、S10
まずは(比較的)穏やかなシーズンが見たい→S8、(S4)
むしろバトルが見たい→S2、S3、S5
キャラが濃いシーズンが見たい→S5、S6、S9

私の好きなクィーン紹介はこちらに書いています(ネタバレなし)ichinics.hatenadiary.com


そんなわけで、UKが始まる前にS5まで書いて放置していたシーズンごとの感想の続きを書いておきたいと思います。

S1から5までの感想はこちら
ichinics.hatenadiary.com


優勝者についてのネタばれは避けますが、それ以外の内容には触れるのでご注意ください…!


2チーム制でスタートした才能の宝庫「Season6」

「歌」「コメディ」「ダンス」「ファッション」「リップシンク」など、確固とした得意分野を持つクィーンが多く、その才能を発揮できる企画がちゃんと用意されているので、見所が多く楽しいシーズンです。
数々のRPDR流行語も生み出した回。
RPDR定番企画の中では、元ネタを知らないとわかりづらいと思われる(そして日本で暮らしていると知らない場合が多い)スナッチゲーム回(ep5)もS6は格別に面白かった。特にベンデラの、シトロン、の言い方、真似したくなります…!
そして、最初は引っ込み事案で言い訳ばかりしていたトリニティKが、ビアンカとのやりとりを通して確変する場面(ep7〜8あたり)はRPDRを見てきた中でも特に好きな場面のひとつ。自信が人を変えるんだなと感じた瞬間でした。登場回(ep2)を見直すと、ビアンカと2人きりになってめちゃくちゃきまずそうに「クール…」しか言えなかったトリニティKがとても味わい深いです。
歌うまクィーンの対決も熱いし、コメディクィーンの躍進も楽しい。一方で、精神的に不安定なクィーンの不器用さが愛おしく切ない場面もありました。
ちなみにS6は全14人の出場者を7人ずつに分けて第1回を行うという、2チーム制が初めて採用された回でもあります。視聴者としては登場人物を覚えやすくてわりとよかったのですが、一方で序盤から派閥的なものができてしまう原因にもなっていました。そのせいかはわかりませんが、これ以降2チームスタートはなし。

グランジ・クィーン、アドレの成長もS6の見どころ!www.instagram.com


若手の躍進が目立つSeason7

私がRPDRを見るきっかけにもなったヴァイオレット・チャチキが登場するシーズンです。
なのでヴァイオレットに注目する気満々で見始めたのですが、第1話からこれはちょっと、注目するまでもなくずば抜けている(特にファッションセンスが)と感じました。
しかしS7の恐ろしいところは、そんな風に飛び抜けた存在が1人だけではないというところ。
特に好きなのはミス・ギャップ萌えのミス・フェイム。クールビューティな美貌ながら、過去養鶏の仕事をしていたことから鶏が大好きで鶏の鳴き真似がうまく鶏のタトゥーをいれているというギャップが愛しい…。
そしてロシア語ネタ&ジムナスティックを得意とするカティアも愛さずにはいられないクィーンでした。途中、ストレスのかかった状況でカティアがフェイムを頼るシーンはとてもグッときました。
また、周囲に「生意気」だと遠巻きにされていたヴァイオレットが、パートナーを選べる権利を得た時に真っ先にカティアを指名したのもよかった。当初は戸惑っていた(ように見えた)カティアも「話してみたら意外といい子だった」みたいに言って、そこから関係性が変わっていくとかね…こういうのがドラァグレース の面白いところです。カティアとヴァイオレットが組むことになる「ハーフドラァグ」のチャレンジは全シーズン通して一番好きだったチャレンジです。
ヴァイオレットは確かに生意気なところもあるんですが、22歳(出場できる最低年齢が21)で出場して、周囲に煽られたりしても意に介さず我が道を突き進む姿はひたすらかっこよかったです。それでいてカティアにはなんか懐いてて、カティアがリップシンクする回、後ろで「Go through it!」って叫んでるのもかわいかった…。
そして、”ドラァグ”というものに対する捉え方に新しい視点を与えてくれたパールの言葉も忘れられません。「幼い頃は紙にパールの絵を描いていた。そしてある日、それを自分の顔に描いてみたら、私がパールになったの」。
S6のベンデラも鬱病を患い、一方で躁的なキャラクターとして”デラ”を作り上げたと語っていました。パールのこの話も、それに近いものなのかもしれない。自分の最大の理解者となる存在を自分で作り上げる。だからこそ彼らはドラァグの自分を決して否定しないのだろうと思います。

www.instagram.com
ヴァイオレット・チャチキ


ついに100話に到達! 1話目から豪華なSeason8!

1話目が100話記念ということで、ファーストチャレンジは過去8シーズンの優勝クィーンとのフォトセッションという豪華さ…!(1人だけ来れなかった人がいるんだけど後日でてきます)
ここにいる優勝クィーンたちも、1話目にはこんな風に初々しかったんだよな…とか思ってしみじみします。
S8も個性の強い人が多いので一見衝突しそうなんですが、実際はこれまでのシーズンでもトップクラスに平和なシーズン。
一見ヴィランキャラみたいに振る舞うアシッドベティが実はめちゃくちゃ情に厚い人だというのがわかるのも良いし、ウォーキングやダンスが得意ではない(けれどファッションセンスはずば抜けている)キム・チーをないがしろにせず、基本的に皆でサポートするのも良い(これはキムが優しい性格だというのもあると思いますが)。
特に好きだったのは、ワークルームで自らの貧しい生い立ちについて語ったチチ。お金がないから衣装にお金がかけられない、と語りつつ、それを言い訳にせずガッツを見せるのが熱い。煽られる場面もあるけど、簡単に喧嘩を買わない努力家です。
特に印象的だったのはep7のリップシンクドリームガールズから「And I Am Telling You I'm Not Going」)。魂のこもったリップシンクで、今見直しても涙ぐんでしまう。途中のアクシデントすら、まるで演出のようにドラマチックでした。最後に対戦相手のソージーがチチの手を掲げるところまで、最高の最高でした。


個性の対決Season9

これまでのシーズンには出てこなかったタイプのクィーンが大勢出てきたシーズン。
ドラァグ歴は10か月(!)ながら圧倒的な美貌と個性的な性格で頭一つ抜け出るヴァレンティーナに、これまでのビッグガールの中でも格別のファッションセンスを持つ、ユリーカ。クリスティーナ・アギレラ似のかわいいファラ・モウンに、洗練された都会的なドラァグを見せるサーシャ。格別なファッションセンスを見せるシア・クーリーに、抜群に個性的なのになぜかとてもネガティブなニナ・ボニーナ・ブラウン、ガッツのあるお姉さんトリニティ・テイラー……などなど、個性が際立っている人が多い。
それでいて、大人なクィーンが多いため、ワークルームは基本的には平和。
収録されたのがおそらくオーランド銃乱射事件(ゲイクラブでの銃乱射事件)の直後で、ワークルームで事件についての話題になった時に「自分も出演するはずだったが別の用があってキャンセルをした」というクィーンもいました。「その日は自分を見るつもりで友達が来てくれていた。「オーケーまた今度、今日は楽しんで帰るよ」っていうメールが最後だった、という話などは、彼らもそのような差別や危険と背中合わせにいることの証左でありとても辛い。改めてこの番組の意義を感じた瞬間でした。
このS9からファイナルがリップシンク対決になるのですが、これが本当にすごかった。これから見る方はどうかネタバレ見ずにファイナルにたどり着いてください…!


ファッション対決が楽しいS10

原点回帰でファッションチャレンジの多いシーズンだったように思います。才能に溢れたクィーンが多くどのチャレンジもレベルが高く、最後まで誰が優勝するのかわからないシーズンでした(でも終わってみれば大納得)。
才能溢れる若手のアクアリアと、面倒見が良く裁縫の得意なエイジア、スマートで工夫を凝らしたドラァグが魅力のミズ・クラッカー、物静かながらリップシンク強者で筋肉クィーンのキャメロンなど好きなクィーンがたくさんいたシーズン。
特に面白かったのはドラァグコンでのパネル討論会チャレンジ。ここで「プロポーショナイズ」という言葉を生み出したユリーカは天才だなと思いました。S9では怪我のためにリタイアしS10でカムバックを果たしたのですが、ユリーカはメイクもうまい、演技もうまい、プラスサイズクィーンの中では圧倒的にボディメイクがうまいという才能にあふれたクィーンだと思うので、カムバックしてくれて嬉しかったです。
それからep11の、明るく輝いている自分と、自分のネガティブさを表現した2タイプのドラァグを見せるEvil twinsチャレンジも良かった。自分の悪い側面を表現するって厳しいことだと思うんですけど皆素晴らしくハイレベルな戦いだったと思う。でも個人的にはアクアリアとエイジアのツインズが好きでした。wow+にはいったので、近いうちにuntuckedと合わせて見返したいです。

www.instagram.com
プロポーショナイズの達人・ユリーカ


初めてリアルタイムで追いかけたS11

私が初めてリアルタイムで視聴できたシーズンです(字幕付きは1週遅れだったので、WOWで見てからネットフリックスを見ていました)。
また、この回からuntucked(バックルーム映像)も字幕付きで配信開始したため、かなり色々ないざこざがuntuckedにはあることも知りましたが、直後のドラァグコンで皆が仲良くしている様子が見れて、結果全員大好きになりました。RPDRはほんと、シーズン後のやりとりとか見ているうちに最終的にみんな好きになるんですよね…。
そして初めてリアルタイムで追いかけて改めて感じたのは、私はやっぱり本気で「america's next drag superstar」を狙ってるタイプが好きだということです。S11で言えば、ブルック・リン・ハイツと、アケリアと、イヴィは最初から「america's next drag superstar」しか見ていないように感じるクィーンでした。そして私は最終的に、不器用に孤軍奮闘していたイヴィを応援していました。
S11の良心ことニナ&シュガケインも良かったな~。手品チャレンジのニナは最高。そして見終えた後にS3ep1のオーディションテープ回にニナを発見して、こんな昔からオーディション受けてたんだな…とジーンと来たりしました。
S9から最終回がリップシンクになったのですが、見てる側としては、早くもネタが尽きてきたのでは…なんて感じていたところで、この決勝戦が繰り出されるのも最高。2人とも最高にかっこよかったです。
S12も本当に楽しみです!!!


いろいろ書きましたが、今の正直な気持ちとしては、その後の活躍とかオールスターとかWerq the worldとかSNS上のやりとりとかみてるうちに、みんな好きになってしまったな…!という感じです。
(登場シーズンでそんなに目立たなくてもASではめちゃくちゃ輝いてるクィーンもたくさんいるのでASも全部字幕配信してほしい…!)。

それぞれ譲れないプライドを持ってドラァグをしていて、そんな姿を見ていると、見ているこちら側も勇気付けられる。素敵なクィーンとたくさん出会わせてくれたドラァグレースに感謝です。
後日また、オールスターやwere the worldの感想も書きたいと思います!