ひとかげ/よしもとばなな

ひとかげ

ひとかげ

作者自身によるリメイク、ということをしらないで買った。吉本がひらがなになったのも知らなかった。でも「とかげ」のリメイクだとしっていたら読まなかったかもしれないので、しらなくて良かった。
「とかげ」は最初読んだ時、あんまりすきじゃなかったのだ。でも、この「ひとかげ」を読んだら、なんですきじゃなかったんだろうって思った。巻末には「とかげ」も収録されていたので再読したのだけど、読み比べてみると、主人公ととかげは、まるで別人のように感じられる。そして私は「ひとかげ」にでてくるとかげのほうが、好きだ。
基本的な筋はかわっていないのだけど、「ひとかげ」では、「とかげ」で描かれなかった行間の思いみたいなものがきちんと文章に現れていて、この人だったら、こうするだろうなという仕草も、きちんと人物に沿うように書き直されている。この改訂を見ると、小説の中の「人物」も、ちゃんと生きているんだな、と思う。とにかく決定的な、とかげについての描写が変更されてるのが、しっくりきた。主人公の気持ちの移ろいも、言葉を継ぐことでずっと滑らかになっていて、物語自体に集中することができる。

彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様!

でも、やっぱりここが、名場面だ。「。」が「!」になおされてるのも、重要。

 スノウブラインド/すぎむらしんいち

「ALL NUDE」+2編の新版。「ALL NUDE」は大好きな短編集で、構成も最高だと思っていたので、+2編(カラーページもなくなってる)ってと思ってたんだけども、読んでみたらやっぱよかった。ちゃんと「少女カメラ」がラストだし「ALL NUDE」がつながって収録されてるのもいいと思った。すぎむらさんの描く女の子のはだかはいいなぁ。
ともかく、読みごたえのあるお買得な1冊だと思います。すぎむらしんいちはすごいと思うし大好きなんだけど、身の回りに好きなひといないのがさみしいところ。

スノウ ブラインド (モーニング KC)

スノウ ブラインド (モーニング KC)

この短編集におさまってる話は全体的に雰囲気が似ていて、私の中では、福山庸治さんと押井守監督(というか御先祖様)を合わせてすぎむらしんいち節にした不条理劇ってイメージです。でも、ひとつひとつに関連性はなく、取り出してみると、単品でも際立って印象的なものが多い。特に時間軸の扱いとか、嫌みなく内に向かってる感じの欲望の描き方とか、舞台が混乱してく過程の勢いとかに独特の魅力があって、もっと短編かいてくれればいいのになって思います。
新しく収録されたものだけ感想かくけど、そのほかも名作だと思う。

パパが地球人を辞めた日

あやまって妻を殺してしまったことに、愕然とする男の背後で母親を探す息子。さて、男がとった行動は? というお話なんですが、これすごい良かった。「さよなら」のコマとか、すごいよ。短編映画にしてほしい。主人公板尾とかで。

でぶでば

女二人組の漫才師のお話。すぎむらさんが女性主人公(しかも美女ではなく)の話かくのはじめてみたかもしんない。けど、愛があるなと思った。女が笑いをとるのってむずかしいなーって思うけど、その難しさをちゃんと描きつつ、ラストうまくまとめたなと思いました。

 働きマン/安野モヨコ

働きマン(3) (モーニング KC)

働きマン(3) (モーニング KC)

アンテナから読ませていただいてるダイアリ(コチラ)で「モチベーションをあげるのに適した」というフレーズを読んで、そうだそうだと思って買って読んだ。今モチベーション不足してんだ。モチベーションドリンクとかあったら飲みたいくらいだ。やる気がないわけじゃないんだけど、奮い立たせたいのですよと思って、すがるような気持ちで読んだ。
面白かった。菅原さんはかっこいいなーと思った。でもやっぱこれ大きな会社の話だなーってしみじみ思う。働いても、あんまり働かなくても、よほどのことがない限り会社の外へ落ちることのないネットの上っていう感じの。だからこそ、モチベーションが必要なのだけど。
松方は移動になったらどうすんだろうな。いってもあそこは花形部署なわけで、ってそんなことは関係ないかもだけど、松方の彼の新二が言う「ヒロ見てるとできない自分がダメに見えて仕方がないんだよ」って台詞が身にしみるというか、そこまでがんばれないって、別にわるいことじゃないよと思う反面、望む仕事を目の前にして、希望とは異なる仕事をしてる人もいるんだよなぁっての、松方には想像する余裕はないだろう、とか。そんなこと考えちゃってちょっと落ち込んだ。でも菅原さんが部署移動してもがんばってるの見て、ちょっと元気出た。これは、単に似たような状況に惹かれる頃合いなんだってことだと思う。

 初心忘れないように

朝起きるのが想像以上に辛い。一日が短い。そして長い。眠い!
環境とか生活パターンとかに慣れるまでの数カ月は気が重いと思うのだけど、それでも上司やら同僚やら、いい人なんじゃないかとは思う。雰囲気も悪くないし。隣の席のおじいさんがめっちゃ美声なのも楽しいし(人見知り中なので会話しないので盗み聞きをしているのです)。
初日から担当任されるとかって、ちょっと面食らったけど、中途ってそんなもんなのかもしれない。どうなんでしょう。右も左もわかんないけど。ともかく、早く仕事覚えて、こなせるようになりたいのでがんばれ。で、余暇を楽しめる状況に、早くもってきたいな(結局それです)。

東京生まれのくせに東京の地理に疎いのだけど、こんどの勤務先はどうやら秋葉原に近いらしい。「秋葉に近くていいな」って弟がいっていたし。なれてきたら帰りに散歩してみようかなと思う。あ、秋葉って何区かもしらないや。