2006年の漫画をふりかえる

今年の漫画をふりかえろうと思い、ここ数日、過去日記を読みかえしたりしています。2006年もほんと、漫画楽しかった。
いろいろあったのでまずはまとめ。

完結した

まず「ヨコハマ買い出し紀行*1「エマ」デスノート*2ハチミツとクローバー*3げんしけん*4など、人気作が相次いで完結。デスノートは映画も前後編で公開されて、映画オリジナルのエンディングにもぐっときた。

流行った

流行ったといえば「デトロイトメタルシティ*5ですよね。でも、あとはほぼ、昨年からの流れな気がします。特に「シグルイ」「へうげもの」「もやしもん」が勢いあったと思う。

楽しみにした

他にも楽しみにしている「よつばと!」「ヴィンランドサガ」「ヒストリエ」「フラワーオブライフ」「大奥」なども、各1冊以上は新刊がでてくれたし、それぞれすばらしく楽しかった。また、連載もの以外でも、好きな作家さんの新刊がたくさんでた年でした。

雑誌連載

スピリッツ、アフタヌーンフィールヤング、コーラス、エロティクスFIKKIを読み続けています。今年は特にエロティクスFを楽しみにした。

復刻した

「真説ザ・ワールド・イズ・マイン*6あまなつ*7など新井英樹作品の復刊も嬉しかったな。この勢いで「宮本から君へ」も復刊してくれればとても嬉しい。オノナツメさんの旧作も、IKKI連載開始(さらいや五葉)とあわせて、IKKIコミックスで復刊された。特に「not simple」*8は、未完だった作品が完結して復刊されたもので、IKKI編集部さんは気が利いていると思った。それからすぎむらしんいちさんの「ALL NUDE」改め「スノウブラインド」*9は、未収録作品追加での復刊。これはちょっと複雑だったなー。追加はうれしいけどカラーがモノクロになってたりするのは残念。好きな作品集なので、これで手に取る人が増えるなら嬉しいけど。あ、あと年末には岡崎京子の単行本未収録作品「秋の日は釣瓶落とし*10の刊行もあった。まだ読んだことのない作品があったっていうのが、素直にうれしかったです。

出会った

新しく知った漫画家さんもいろいろ。「群青学舎」「コダマの谷」の入江亜季さん、「向こう町ガール八景」と「おかえりピアニカ」の衿沢世衣子さん。「鈴木先生」の武富健治さん、など、これからの楽しみができました。
それから、名前は知ってても、読んでなかった「BLACK LAGOON」。めちゃめちゃ面白かった。楽しみ単行本リストに追加されました。

ニュース

アエラムックで高野文子が!とか、ブルータスで大友克洋が!とか、わしズムこうの史代が!とか、そういうのも楽しかったです。
あと今年は「酔拳の王 だんげの方」さんの企画「ナツ100」(結果発表 → http://d.hatena.ne.jp/./dangerous1192/20060824)がたのしかったです。集計ご苦労様でした。
私のナツ100はこちら→(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060805/p1)選ぶの楽しかったなぁ。

とりあえず、そんな感じの1年でした。来年は、もっと漫画読みたいと思います。あと、どうしてもネタばれになってしまう為、今止めてる雑誌連載感想メモはどっか場所を移して続けたいと思ってます。記憶整理。
と、ひととおり振り返ったところで、「個人的2006年の漫画ベスト」を決めたいと思います。

*1:id:ichinics:20060712:p1

*2:i最終巻/id:ichinics:20060707:p1、映画/id:ichinics:20061125:p1

*3:id:ichinics:20060803:p2

*4:id:ichinics:20061225:p3

*5:id:ichinics:20060714:p1

*6:id:ichinics:20061031:p1

*7:id:ichinics:20060909:p1

*8:id:ichinics:20061104:p3

*9:id:ichinics:20061011:p2

*10:id:ichinics:20061119:p1

 個人的2006年の漫画ベスト10

上のまとめを書きながら、新しいことがたくさんあったなと思っていたのにも関わらず、昨年(id:ichinics:20051227:p1)とほとんどかわらないラインナップになってしまいました。
今年発売、もしくは連載していたもの限定。アバウトな読んだ日付け順です。

  • フラワー・オブ・ライフ」/よしながふみ
    • id:ichinics:20060420:p1)
    • 今いちばん新刊が待ち遠しい漫画かもしれないです。大奥2巻(id:ichinics:20061130:p2)もものすごく面白かったんだけど、「フラワー・オブ・ライフ」3巻は特に楽しかったのでこちらに。
  • よつばと!」/あずまきよひこ
    • 5巻(id:ichinics:20060501:p1)6巻(id:ichinics:20061216:p2)
    • 去年のベストにも選んだんだけど、だって「よつばと!」は毎回文句のつけどころがないというか、ほんとに楽しんで読んでいる。
  • ソラニン浅野いにお
    • id:ichinics:20060508:p1)
    • 去年は「ひかりのまち」を挙げたのですが、ソラニンは今年2巻でて、読み終えてみると、きっとこれが(当分)浅野さんの代表作になるんだろうなと思えた。そのくらい、なんか詰まってる感じがしました。映画「ひかりのまち」とあわせてぜひ。
  • 「ヘブン…」/鈴木志保
    • id:ichinics:20060618:p3)
    • 正確には2005年にでたものだけど、12月だったし映画ならお正月公開だし、というわけで例外。この後に「END&」などもでたせいか、今年は鈴木志保さんの漫画を久しぶりに読んだ年だった…って感じがする。決して好みのタッチというわけではないんだけど、ひきつけられる独特の世界。
  • 「凪渡り及びその他の短編」/高浜寛
    • id:ichinics:20060620:p1)
    • 高浜さんの漫画は新刊でるたびに読んではいるんだけど、ちょっととっつきにくい作風だと思っていた。けれど、この作品集は比較的噛み砕いた語り口で、でもどこか漫画っぽくない雰囲気を保っていて、新鮮でした。とても良質な作品集。「文学」っぽい雰囲気(それが苦手って人もいるかもしれないけど)。
  • 「古い女」/こうの史代
    • id:ichinics:20060901:p3)
    • わしズム」に掲載されたもの。いろんな意味で強烈だったな。こうのさんの作品に漂う「毒」の部分を煮詰めたような、どろどろとした底知れなさ。これを読んでなければ、「さんさん録*1を挙げたいところでした。
  • ヨコハマ買い出し紀行」/芦奈野ひとし
    • id:ichinics:20060712:p1)
    • アフタヌーンを買いはじめた頃には既にやっていたような気がする。最初はこれってどういう漫画なんだろうって思いながら読んでたんだけど、いつのまにか、あの空気が自分の中にも流れていて、それは今も続いているような、大事な作品です。祝完結。
  • 「NOT SIMPLE」/オノ・ナツメ
    • id:ichinics:20061104:p3)
    • オノさんの作品の中では異色なのかもしれないけど、これもまたオノ・ナツメ作品の核みたいな部分を抽出した作品だったと思う。
  • ヨイコノミライ」/きづきあきら
    • これもオノ・ナツメさんの作品同様、IKKIコミックスから完全版となって復刊されたもの。こういうのはほんとありがたいですね。感想書き忘れていたことに今気付きました。読後にぐったりして書く気力がなかったまま書いた気になっていた。でも、ぐったりというのは、それだけ印象に残った作品だったという意味です。近いうちに感想メモするつもり。
  • BLACK LAGOON」/広江礼威
    • id:ichinics:20061121:p1/id:ichinics:20061122:p2)
    • 1巻が出たのは2002年なので、ほんと遅ればせながらなんですけど、面白い。好きな映画の好きなシーンを繰り返し見る、というのと同じような気分で読み返してしまう場面がたくさんある。


他にも、沙村さんの連載とか、「ピース・オブ・ケイク」とか、雑誌で読んでいるのにも面白いのはいろいろあったんだけど、印象に残ったのはこんな感じ。
今まで、基本的には好きな作家の作品だけしか追いかけてなかったんだけど、今年は知らない漫画家さんの面白い作品、っていうのにたくさんであった年でもあったので、開拓欲がでてきました。というわけで、来年はもっと幅を広げて漫画読みたいです。

*1:1巻(id:ichinics:20060315:p1)2巻(id:ichinics:20060724:p1)

 2006年の嫌われ松子

嫌われ松子」の一生が映画化されてヒットしたことと直接関連があるのかはわかりませんが、似たテーマの作品である「赤い文化住宅の初子」と「自虐の詩」が映画化されるときいて。今年は「幸薄さ」が流行していたのかなと思う。

それぞれ描かれる年代は違うものの、ヒロインが貧しさや異性関係における受難の日々を送る、という設定のイメージが重なっている。
もちろんそれぞれ全く印象の違うヒロインなのですが、松子と幸子を同じ女優さんが演じるというのは、なんか、いかにもでやらしいなぁと思ってしまうのは私の心がせまいのかもしれない。
特に「自虐の詩」の1巻における日常の反復があるからこその、あの鳥肌がたつようなカタルシスを、映画ではどう描くのか気になります。
自虐の詩」公式→ http://www.shochiku.co.jp/jigyaku/