のだめカンタービレ1〜12/ 二ノ宮知子

のだめカンタービレ(12) (KC KISS)のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

ちらっとしか読んだことがなくて、ずっと読みたいと思ってたのをやっと出ているところまで読破した。楽しかった! なんども声だして笑ってしまった。

私は天才にまつわる物語がとても好きで、もちろん天才がでてこない話にも好きな話はたくさんあるんだけど、ともかく天才にまつわる話に好きな話が多い。
天才の描かれ方には、いくつかのパターンのようなものがあると思う。
まず、才能があるのに、チャンスがない/事情があってチャンスが手に入りにくい場合の話。これには「ガラスの仮面」「鉄腕ガール」「オルフェウスの窓」「ピアノの森」「カペタ」などがあてはまると思う。
次に、その天才が驕っている/もしくは才能があるのにその魅力を知らない、ということによって、才能が完全には発揮されていない状態にある話、としては「ピンポン」のペコとかを思い浮かべる。
他にも、追い抜かれる天才、理解されない天才、才能に押し潰される天才、などなど、いろんな天才の描かれ方があって面白い作品が多いのだけど、この「のだめカンタービレ」ののだめのような、一筋縄でいかない天才の話を読んだのは初めてのような気がして新鮮だった。
物語はむしろ、のだめの天才さにあるのではなく、千秋の方に重点があるんだと思うのですが、こう、のだめの才能がぶわーっと認知されて行く、というような展開にならず(そういう展開は千秋に任せてあるかんじ)のだめはのだめのままで、のだめ自身がやる気になったりならなかったりするところがもどかしくて楽しい。のだめでモヤモヤさせつつ、千秋は(基本的には)順調に認められていくというところが、読んでいてすっきりする。
のだめの音楽の捉え方なんかも、すごく面白くて、あのコンクールで見せた色んな表情は音を聞いていない私でももっと聞きたいと思ってしまった。(このへんのエピソードはちょっと「昴」曽田正人)での昴がローザンヌにでるシーンを思いだす。)音楽を題材としているだけに、千秋が指揮をするシーンなどでは、オーケストラでの演奏を聞いてみたくなるし、私は前半部分での千秋とのだめの連弾シーンがとても好きだったのだけど、それもすごく聞いてみたくなった。連弾はむりでも、オーケストラでやってる曲がすぐ思い浮かべられるようになりたいなと思う。
って、なんだかんだいいつつ、12巻通して特に印象に残った台詞として思い付くのが、真澄ちゃんの

軽くなんてそんな練習しないんです!わたし!!

という台詞だったりするところで、もしかしたら私はスポ根ものがすきなのかなーと思ったりします。RSに誘われなかった、と泣いていた鈴木姉妹が戻ってくるとこもよかったー。努力が報われるって瞬間は読んでいて嬉しい。
そしてやっと、次の巻をこころおきなく楽しみにできる状態になれて嬉しい。