レオノール・フィニ展

bunkamuraにて。(→ http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/fini/
絵画を中心に、舞台や文章など様々な場で活躍したレオノール・フィニ(1907〜1996年)の展覧会にいってきました。といっても、私は特にフィニの世界に詳しいわけではなく、あの強烈な自画像(上のリンク先にある画です)が好きで、そのイメージでなんとなくパティ・スミスのような人なのかなというイメージを持っているだけでした。
しかしきちんと年代順に並べられた作品を見ると、フィニ自身がシュルレアリスム画家とされることを嫌っていた、という言葉が頷ける様な、瑞々しい色彩の絵がたくさんあって驚きました。特に、最も若い頃の作品とされるトリエステ時代のものなどは、山本容子さんの淡い色使いを思いだす様なものが多かった気がします。
シュルレアリスム時代のものとされる作品にはいくつかの肖像画もあったのですが、ここでの人物の描き方がとても不思議だった。私は美術にくわしく無いので適当な言葉が思い付かないのだけど、その表情は確かに実際の人間のもののようでいて、しかし写実的ではないというか。また、エロティシズムの時代とされるところではがらっと絵柄が変化し、トリエステの頃のような、やさしい色の作品が多くて、私がフィニに対して持っていたイメージとはずいぶん異なるものでした。
また、フィニのもう1つの側面として、実際に劇場で使われた衣装なども展示してあったのですが、ここまで見ると、フィニが女性を描く際に、よく構図の中に布を効果的に配置していることに繋がっているように思えました。
そして円熟期へ向かうにつれ、だんだんと絵につけられた題が物語を示唆するようなものに変わって行くような気がしたのですが、絵を見た時にはあまり納得できなくても、後で題名を見てぱっとその絵が思い浮かんぶのが不思議で、フィニの文章の才能の一端はそういう所にも現われているのかな、と思います。
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全然違う、と言われてしまいそうですが、ちょっと佐野洋子さんを思いだしました。具体的に何がという訳ではないのですが、いつのまにか佐野洋子さんのことばかり考えている自分がいました。