傘をゆずられる

ichinics2005-07-06

帰り道、最寄りの駅についてから雨が降り出した。傘は持っていなかったけれど、買うのももったいないから、バスに乗って、バス停からは小走りで帰ればいいや、と思っていた。
バス停から家までは、ほんの7〜8分だ。
暗い路ではあるけれど、慣れている路なので平気であるいていたら、かすかに「あなた、ねえ、あなた」という声がする。音楽聴いてたイヤホンをはずして振り返ると、おじいさんが傘を差し出していた。ちょっとびびる。しかしおじいさんは親切に、「あなたにこの傘あげますよ」とありがたいお言葉をかけて下さった。
けれど、私の家はもうすぐそこなのだ。歩いて1分程度の道のりのために、傘を頂くわけにはいかないので、「いえ、いいです、もうすぐそこなので」とお断りすると、おじいさんは突然「そうかよ、じゃあいいよ!」と投げやりに言って踵を返して去ってしまった。
私の断り方がいけなかったんだろうか、と暫し呆然としたけれど、雨足はどんどん強くなるので、慌てて家に帰った。