Beyond/Dinosaur Jr

Beyond (Dig)

Beyond (Dig)

会えると思ってなかった人に会えるときいて、ためらう気持ちがなかったといえば嘘になるけども、そんなのがばかばかしくなるくらい、距離はあっという間に縮まった。笑っちゃうよ、うれしくて。
音楽雑誌とか買うのやめちゃったので、どういう経緯で再結成、しかも J、ルー・バーロウ、マーフのオリジナルメンバーでアルバム制作にいたったのか知らないのですが、つんのめるギターで幕をあける「Almost Ready」の拡散する音と声、「Pick Me Up」のながーいギターソロに「Been There All The Time」の疾走感、Jの揺れる声にくらくらして、「We're Not Alone」終盤のギター!「Lightning Bulb」のドラム! このアルバムの音はまんまあのときの続きで、違うのは私がもう出会った頃の十代じゃないってことだった。あんなに繰り返して聞いた、親密な音だったのに、いつしか家でダイナソーをかける日も減って、Jの近況にもすっかり疎くなって、気付けばずいぶん遠くまできていた。
それなのに、今このアルバムを聞きながら、私は追いかけているような気分でいる。
だって何年ぶりなの。ダイナソー名義では10年、オリジナルメンバーでは18、19年ぶりくらいだっていうのに、この音が聞けて、しかもそれがすげーいいって思えて、しかもそれがひいき目でなく素直な気持ちだなんて。ちょっと泣いてもいいですか。