ゾディアック

ichinics2007-07-07
監督:デヴィッド・フィンチャー
怖かった!すごく面白かったですけど、とにかく怖かった。
「1960年代から70年代にかけて少なくとも37人を殺害したといわれている連続殺人犯、ゾディアック」の事件を、当時新聞社に風刺漫画家としてつとめていた、グレイスミスの視点から描く物語。
とにかく、主に前半に集中している、ゾディアック犯行シーンがひたすら怖い。未解決の事件である。ということから、ゾディアックの犯行シーンのほとんどはイメージで描かれているのだろうけれど、想像を裏切る最悪なやり方。幼い頃から、殺人事件が報道されたり推理小説やサスペンスものを読んだりするたびに、自分が殺人犯とあいまみえたら、いったいどうしようという想像は幾度も繰り返してきたけれど、「いいですか?」「いいですよ」て話の通じる相手ならまだましなんだ(ましじゃない/ましとかないけど)。とにかく嫌なのは、期待させてうらぎることだ。
しかし、ゾディアックのやり方、犯行後に警察に「俺がやった」って電話したり、新聞社に暗号文を送ったり、という「ヒント」が、人々をひきつけたのもわかる。それがあるからこそ、誰かを逮捕で安心することも、できなかったのだろう。
映画は、そのヒントに夢中になり、最後までゾディアックを追うグレイスミスを描いているわけだけど、最初は好奇心に突き動かされていた彼の執着が、やがて安心を求める消耗戦へと転じていく、その様子が印象的でした。