乙女ケーキ／タカハシマコ

乙女ケーキ (IDコミックス 百合姫コミックス)

百合漫画の専門誌（というのがあるんだってはじめてしった）に連載されていた、と知って少し驚いたけれど、この短編たちは、でもどちらかというと王道の友情もの。雑誌の方は、きっと切り口をかえてパッケージしたってことなんだと思うけれど、考えてみれば少女漫画における友情というのは、こんなふうに境界を揺れてるものが、たくさんあるんじゃないだろうか、とか思う。

私は女の子を好きなフリをしているだけなんです
だって「女の子を好き」って言っているほうが楽なんだもん
「みちくさ」

このお話も、友達がどんどん自分に「似てくる」という（まるで映画「ルームメイト」のような）「ショートカット」も、どちらも、その愛情の矛先が相手を通して自分自身に向かっている。その他者を鏡に自分の見え方を探っていくというのは、「見られる」ということを意識しはじめる、思春期特有の仕草なのかもしれない。そこを繰り返し描いているのが印象的でした。
ただ、そこで「気軽という名の武装」（「サンダル」）を選ぶ女の子もいて、そのへんの葛藤みたいなものに、もっと踏み込んだ話がよみたいなと思いました。