気になる部分/岸本佐知子

気になる部分 (白水uブックス)

気になる部分 (白水uブックス)

「ねにもつタイプ」が面白かった(id:ichinics:20070418:p1)ので、それよりまえに出ていた、この本を読んでみた。93年から99年にかけて雑誌などに掲載されたエッセイを集めた本。「ねにもつタイプ」を先に読んでしまうと、若干まえのめりな感じのするエッセイが続くけれど、やはりとても面白かった。
自分と同じ沿線で暮らしていたことがあるからか、満員電車の描写など、苦笑しながら頷いてしまうものだし、七夕の短冊についてやら、スキップへのこだわりやら、気になることを考え続けたり、というその思考回路には、勝手ながら近しいものを感じてしまう。しかし、たとえば「さかさかみなり」など、幼いころにみたきおくを描写する、その筆致に感服させられるたび、油断してはならない、と思う。
あっという間に読み終えてしまった。そしてたくさんのことを思い出した。
それから、後半、ニコルソン・ベイカーの作品を訳していることについて書かれてあるのをよんで「中二階」を読みたくなった。