朝起きたとき、いい天気で嬉しかった。
上機嫌で居間に降り、朝食を食べる。E伯父から栗が届いたというので、母と一緒にむく。最初、ハサミで鬼皮をはがす方をやるが、うまくいかず、指を切ってしまったので(たいしたことないけど、あぶなっかしいということで)交代して、包丁で渋皮をむく方をやる。「食べるのはアッという間だけどねぇー」と、何度も言う。栗の皮むきはなかなか大変で、終わった時には母も私も、手がわなわなと震えていた。
その母と私の背後には、猫が眠っていた。20歳を超えた頃からだんだんと体力が落ち、最近では、1日の8割は眠り続けているような気がする。震える手で、ほぐした魚をやるが、すぐに顔を背ける。どうやら歯が痛いようで、最近めっきり食欲がなくなった。もともとノラ猫だったからか、プライドの高い、あまりなつかない猫なのだけど、だからこそ、弱った姿を見るのはなんだか、こう、なんて思いながら、相変わらずのつれないその表情に、まあずっとこんな調子だものねと、思う。
そして、ふと思いだして一昨年の日記(id:ichinics:20050214:p3)を見てみると、このとき向けられたような「ふてぶてしさ」は、もうなくなったなあと思うのだった。
さっきまで震えていた自分の手を見る。小学生だった私が、いまのこれになったってのを、猫は認識しているのだろうかとか、思う。たぶんきっと、していない。ただ、20年近く一緒に暮らした、その視線は、まるで家のようだなと思う。