ピエタ/榛野なな恵

ピエタ 1 (YOUNG YOUコミックス)

ピエタ 1 (YOUNG YOUコミックス)

「家族に愛されなかった少女と、あふれるほど愛されて育った少女」が出会うお話。いま私の知っている言葉で、この漫画について書こうとすると難しい。
例えば、二人の少女の関係について問いかける医師に向かって、佐保子がこう答える場面がある。

先生 どうして人は自分を分類したがるのかしら
小さな引き出しに役名を書いたラベルを貼って
その中に入りたがるのかしら
(略)
でも理央ちゃんのおかげで出てこれたの
だから今は与えられた役名は何も無い

それと同じようなことで、このお話にでてくる二人の関係は夢のようだ、と私は思うけれど、でもこうやって、何かのイメージにあてはめて考えること自体がラベルを貼ることなのだと思う。実際はひとつとして同じ関係などないのに、ラベルを貼ろうとするのは不安だからだ。
それならば、与えられたものではなく、好きなラベルをつけてしまえばいい。信じたいものの名前をつける、ラストがとてもよかった。

ピエタ 2 (YOUNG YOUコミックス)

ピエタ 2 (YOUNG YOUコミックス)