あばよ涙、よろしく勇気

もう10年近く前(…ってあらためて過ぎ去った時間が10年であることを考えるとおそろしいな)、私はとある町のとあるレコード屋さんでバイトしていました。当時大学生だった私は、漠然とした不安と期待とやる気と無気力が交互にやってくるような日々を、思い切り泣いたり笑ったり時には思い切らなかったりして過ごしていました。そして時には恋したりも(げふげふ(中略))その頃付き合っていた人と、お別れしたときは、ほんとうに悲しかった。「若さ若さってなんだ〜」と問われれば「振り向かないことさ〜」と即歌するわたしですけれども、昔は今よりもずっと、振り向きまくっていた気がします。

その彼とお別れしてしばらく経ったある日、バイトの帰り道に偶然、鉢合わせしてしまったことがあった。
ま、鉢合わせといっても声かけたわけじゃなくて、遠目に会釈くらいしかできなかったんだけど、一緒にいた同僚Yさんも元☆彼のことは知ってたから、「なにどうしたの」とか言われ、「実はねー」、みたいなことを、歩きながら少し話した。「ふられたー」「わー!」って話は女友達と散々したし、ずいぶん元気になったと思ってたけど、でもいざそうやって振り返ってみるとなんか悲しい。そんで、つい、目から水が出てしまった。
あーあ、って思ったけど、でてしまったものはなかなかひっこまない。でも、駅についたとき、一緒に歩いていたYさんが困った顔で、
「おれ帰ってもいい? 」
って聞いてきたのが、すごく面白くて、つい笑ったら自然と涙もとまった。

たまに、女の涙はめんどくさいって言葉を目にするけど(Yさんもそういうこと言う人だった)わりと涙もろいタイプであるところの私からすると、泣いてる方だって結構めんどくさかったりする(そうじゃない人もいるかもしれないけど)。泣くとスッキリすることもあるけど、人前だと気を使わせてしまうことが多いし、心配かけたくないのになーってこともある。そんな時、この「おれ帰ってもいい?」を思いだすと、けっこーふっきれたりする。
とはいえ、誰に言われても笑える台詞じゃない気もするし*1、優しい言葉をかけられたら、それももちろんすごく嬉しい。
ただYさんの「おれ帰ってもいい?」の後ろには、家帰ってテレビみたいとかご飯食べたいとか明日また普通に一緒に働くとか、そういうのがすごく素直にあって、だからこそ、私の毎日だってまだまだ続くもんね!って、気持ちになれたんだと思う。
まあ、面と向かってそんな事なかなか言えないけど、こんときのことは今もよく思いだすし、Yさんと飲んだ時はいまだにこの話がでたりする。
そんで笑いながら、やさしいとかつめたいとかって表面的な言葉だけじゃ判断できないものだよなあとか、そんなこと考えたりしてます。

若さ 若さってなんだ? 振り向かないことさ
愛ってなんだ? ためらわないことさ
ギャバン あばよ涙
ギャバン よろしく勇気
宇宙刑事 ギャバン

*1:キャラクター次第なのかなあ