ラッキー/村上かつら

ラッキー―Are you LUCKY? (ビッグコミックス)

ラッキー―Are you LUCKY? (ビッグコミックス)

すごくよかったです。村上かつらさんの作品は、特に短編集が好きで、だからこの新刊も書店で見かけて迷わず買ったのだけど、「ラッキー」はいままでの作品からイメージするものとはずいぶん違っていた。例えば「サユリ1号」などのように、村上かつらさんといえば人の不器用さ/弱さ/ずるさを描くのがうまい人…という印象で、乾いているようで生々しい、感触が印象に残る漫画家さんだった。
でもこの「ラッキー」は、単純な言葉すぎて書くのをためらってしまうけど、いい話だった。もちろんこれまでのお話もすごく好きなんだけど、このまっすぐさが、まっすぐとどくのが嬉しい。電車の中で読んでてちょっとないた。そしてすぐもう一回読んだ。そんでも同じくらい面白くて、電車を乗り過ごしてしまったくらい、楽しかった。

このお話は、主人公の少年がある日押し入れの中で犬型のロボット「ラッキー」を見つけるところからはじまる。ラッキーは目のところがディスプレイになっていて、そこに映し出される五文字で会話するのだけど、この文字数制限と、家族の物語と主人公の成長が、すごくうまく絡み合ってる。しかもその構成を自然に見せる、さり気なさがまたすばらしい。
ラッキーはいつまでも見ていたくなるくらいかわいくて、かわいくてほんと、何回も読み返したくなる漫画でした。
わたしもラッキーと暮らしたい。