真昼の月 海街diary2/吉田秋生

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

シリーズの第2巻。1巻のときには気づかなかったのですが、これ「ラヴァーズ・キス」とつながっている話なんですね。
相変わらず台詞の多い漫画で、それはたぶんこのシリーズになってからのことだと思う。舞台が鎌倉だからというだけではなく、このシリーズにはどこかやっぱり保坂和志さんの小説に近いところがあって、そう感じるのはこの饒舌さも理由のひとつなのかもしれない。(むしろ小津安二郎作品を意識しているような気もするけど)。
それでいてなんとなくキャラクターの温度がちぐはぐに思えたところが1作目になじめない理由でもあったのだけど、この2作目は母親違いの末娘、すずをメインに描かれているせいか、ずいぶん印象が違った。転校生であるすずが、自分のいなかった時間に気づく場面がひとつひとつ丁寧に描かれていて、とても奥行きのある物語になっていると思う。
一番印象に残ったのは、長女と母親のやりとりをメインに描いた最終話「真昼の月」。気の利かない母親の言動のひとつひとつに場の空気自体が色を変えていくのが目に見えるようだった。視点になっている人物の思いと、その場にある会話が並列して描かれる場面など、やっぱりうまいなぁと思う。
それでもやはり少し台詞が多すぎるというか、説明的に感じられてしまうところもあって、どこか不協和音に思えるのはそのせいかもしれない。