たどりつく景色だけがすべて

初霜だって、と声をかける夢で目が覚めた。寝ぼけたままテレビをつけて、そのまま二度寝していたのだった。エアコンのスイッチを入れてみたものの、ガタガタと音がするばかりで部屋はちっとも暖かくならない。もしかしたらエアコンにも霜がおりているのかもなあ、と勝手に納得し、よしっと掛け声をかけて起き上がる。独り言とかかまわず言う。白い息かきわけるようにして走る。自転車で。笑っちゃうくらい寒いけど、最近は寒いのも悪くないと思えるようになった。冷たくて薄くてやわらかな光も、朝のぬれた感じも、ちいさなところに集まりたくなるこの心細さも、過ぎてかないでもうちょっと、とひきとめたくなる。