「大奥」4巻/よしながふみ

大奥 第4巻 (ジェッツコミックス)

大奥 第4巻 (ジェッツコミックス)

家光と有功の物語が幕を閉じ、家綱から綱吉の時代へと流れる。
この4巻が今までの中で一番恐ろしかった。というか、もういっそこれは作者の復讐なのではないかと思える部分すらあった。
男女逆転といっても描かれる歴史は実際の史実とリンクする部分もあり、そこには裏切りもあれば、爽子(「愛すべき娘たち」)のいうところの「分け隔て」もある。
かつて

『愛すべき〜(娘たち)』を描いてみてはじめて、どうしてボーイズラブを描いているのかがわかった。”男女の話を描かなければ、フェミニズムに触れないで済むからなんだ”って。ボーイズだったら、私自身が女として持ってしまう葛藤を描かないで済む。だから描いてたんだなぁっていうのを遅まきながらわかったんです
STUDIO VOICE 現在進行形コミックガイド」インタビューより
http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060811/p1

と語っていたよしながふみにその後どのような変遷があったのかはわからないし、フェミニズム、という言葉の意味も私にはつかみきれていないのだけど、この4巻で描かれる物語を読んで感じたのは、立場が逆転してもやはり女は女、男は男として描かれているということだった。
それでは、男女を逆転させることによって見せたいものとは何なのだろう。
そこが楽しみなところでもあり、恐ろしいところでもある。
ただ、終盤で描かれる右衛門佐と綱吉の関係はそこから逸脱しそうで面白くもあり、今後がとても楽しみです。