春一番

生ぬるい風が鼻先かすめた瞬間に、冬が終わったような気がした。まだ春になる手前の、なんだかそわそわするようなにおい。
今日は、思いがけない贈り物をもらって久しぶりに、嬉しくて涙がでた。もともと涙もろいので、泣くのは珍しいことではないんだけど、こんなに気持ちがいいのは久しぶりだなと思う。
長いこと、自分がやりたいことをやっているだけで、なぜまっすぐに満足していられないんだろうと思ってた。それだけじゃなくて、欲しいものを、欲しいって言いたくなくてずっと、落ちてくるのを待ってたような気がするけど、口に出さないでもできることはたくさんある、と背中をおしてもらえたような心強さだ。
言葉が追いつかないけど、いつか、と思いながら、目の前をすぎてく白い花びらのような何かを目で追った。