「薔薇だって書けるよ」/売野機子

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

本屋さんで表紙買い。絵柄を見て、もう何冊か本出してる人の未収録作品集とかなのかなーと思ってたんだけど、なんとこれが初単行本とのこと。コミティアに出していた同人誌経由で「楽園」デビューした作家さんだそうです。
でも、実際に読んでみても、古いというのとは違うんだけど、ちょっと懐かしさを感じるような「少女漫画」だなと思った。それも70年代くらいからごく最近までが入りまじっているようで独特。

例えば、コミティアで発表されたとかいてある「晴田の犯行」に、ジッタリンジンがでてきたりするとことかが(まあこれは作品中で時間経過があるからかな)、すこし古く感じさせる気もするんだけど、作品中の小道具は必ずしも現在にあわせる必要はないんだよなーということを思ったりもしました。
私がこの作品集でいちばん気に入ったのも、この「晴田の犯行」で、特に

いつか、人生の本番が来ると信じていた

という書き出しがとても好き。長い片思いを終わらせるまでのお話で、エピソードは少ないのだけど、ピアスを買った日とその後のやりとりがとても切なかった。
それから自殺したミュージシャンが、自分のファンの女の子と最後に話す「日曜日に自殺」は、なんだか大島弓子ぽいなと思いました。

…あたし、ビデオテープ標準で録ったよ

てひと言にぐっときた。と同時に、こういうとこもやっぱり、少し昔の漫画を読んでるみたいなんだよなと思ったりしました。HDじゃ味気ないもんね。