父の日日記


父の日ということで、ケーキを買った。このチョコのプレートがついてるやつ、ください。なんて、10年前の私だったらきっと恥ずかしくてできなかった。
ハート形ってやりすぎたかな…とか思いつつ、ケーキを持ち歩く時の誇らしい気分で、いつもより少し丁寧に歩く。晩ご飯どうする、手巻き寿司は? いいねー、じゃあ材料買ってきて、なんてやりとりを電車の中で済ませ、最寄のスーパーで刺身と海苔と、マリーンも欠かせないし、平目、ちょっと高いけど、なんてカゴにどんどん放りこんで、両手に大荷物で帰宅。

食卓の準備が済んだ状態から風呂に入り始めるとか、相変わらずの父さんをマリーンつまみ食いしつつ大人しく待つのは私たちきょうだいにとっては日常だ。ぎりぎりまで空腹をがまんした後の、いただきますの後が各自素早いのもいつも通り。久しぶりの手巻き寿司は、酢飯3合あっという間だった。

最近パソコンが重くてね、と父さんが言うので、外付けに移したら? と答えると、繋いでるけど減らない、と言う。だからもう新しいの買おうと思って、とも言う。なぜか、新しいパワーポイント買おうかな、とも言ってた。その後、皆であれこれ言った末に「……もしかして父さん、ごみ箱空にしたことないんじゃないの?」ときいたら、それが図星で笑った。

ハート型のメッセージプレートにはもちろんノーコメントだったけど、帰り、駅まで車で送ってくれるというのは機嫌が良かった証拠だと思う。ナビがあれこれ言うので、どうしたのと訊くと、三日後に遠出する用があるので、すでにナビに登録してあるのだと言う。そういう心配性なとこは、私は似なかったな。なんて思いつつ、
別れ際、「ゴミ箱忘れずにね」と言うと舌打ちして笑い、無言で走り去って行った。