Rufus Wainwright@渋谷公会堂 2013/03/19

ルーファス・ウェインライトのライブは3年ぶり。前回のTDCホールの時(id:ichinics:20101006:p1)には、席の都合上あまりよく見えなかったのだけど、渋谷公会堂はよく見えて、それでいて音もきれいで、拍手の音が会場を包む感触も親密で、いい会場だなと改めて思いました。
ルーファスの歌を聴くと、こんな風に歌えたらどんなに気持ちがいいだろうと思う。のびやかで安定した声は日向の小川みたい。しっとりとした草や土のにおい。ルーファスという人のイメージはどちらかというと都会的なのに、その音楽を聴いて思い起こされるのは、いつも懐かしい、視線の低い自然やあたたかな家のように思う。特に好きな1stから「Foolish Love」が聞けたのは嬉しかった。この曲聞くとなぜかいつもドヴォルザークの「ユーモレスク」みたいだなと思う。

以前の来日の際にも、ジェフ・バックリィの思い出から「Memphis Skyline」「Hallelujah」を続けて歌う流れがあったのだけど、もしかしたらこの曲のイメージで、川を思い出すのかもしれない。懐かしいのに遠い、でも眩しい光景。ジェフ・バックリィに対する気持ちとルーファスに対する気持ちは自分の中でとても近くて、だからルーファスがジェフに対する嫉妬、愛情、親近感について語っているのを聞くのは、とても不思議な気持ちになるし、すごく腑に落ちるところもある。
ギターを1本しか持ってきてない(?)から日本でギター買ったの、って見せてくれたギターがキティちゃん柄(私の席からは見えなかったけど合流した友人に教えてもらった)だったりとか、他のお買い物の話とか、家族の話。ルーファスのMCはとてもチャーミングで、でも歌い始めると瞬時に空気が変わる。ほんとに、一度でいいからこんな風に歌えたらなと思う。

ひとつ残念だったのは、せっかくの来日なのに空席(2階席はまるごと空いてたと思う)が目立ったこと。JCBのときも国際フォーラムの時も満員だったのに、今回の来日は知らなかった人も多かったみたいだし、ほんともったいない。また来てくれるといいな…。