朝井リョウさんの作品は「武道館」を読んだことがあるだけだったのだけど*1、「何者」は特におすすめしてもらうことが多く、ちょうど文庫が出ていたので読みました。
そして読んですぐ、出てる本全部読もう、と思いました。そのくらいインパクトがあった。
- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/06/26
- メディア: 文庫
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対してこの「何者」は描かれているのが大学生の就職活動であるということもあり、ある程度は客観的な視点で読み進めていました。でもそれが結局、また物語に巻き込まれる結果を招くとは思いもよらなかった。
「何者」は、就職活動で見せる自分の表裏と、SNSでの表裏を描いたお話。
自分は転職含め就職活動を計3回やっているので、就職活動はもう二度とやりたくないなーしんどいよねーと、ある程度は主人公たちに同調するような気持ちで読んでいた。
同時並行で描かれていた、SNSで語られる自分と実際の自分の齟齬みたいなものについても、自分の学生時代、特に就職活動をやっているような時期にSNSがなくてよかったなとしか感じていなくて、
だから終盤「そうやって自分には関係ありませんよ、みたいな顔してんじゃないよ」って胸倉掴まれるみたいな展開になって、最後はほとんどおそるおそる読んでいたと思う。
ただ、自分のSNSというものに対する感じ方は、この本で描かれているものとは少し違うような気もした。
ほんとうにたいせつなことは、ツイッターにもフェイスブックにもメールにも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことは、そんなところで発信して返信をもらって、それで満足するようなことではない。/p174
ほんとうにそうだろうか、と思う。
何者でもない自分だとしても、だからこそ、特定の誰かに向けているわけではない言葉に、何らかの核心はあるのではないかと、私はまだ思っている。
*1:あと「桐島、部活やめるってよ」の映画