マジカル・ガール

「日本の魔法少女アニメの主人公に憧れる少女が出てくるスペイン映画」という前情報だけで見に行ったので、前半は「あれ?そういう話?」ってなることの連続で、よい意味で裏切られる結果となりました。

内容は極力頭に入れずに見たほうが絶対に面白い映画だと思うのですが、とりあえずその一文から想像されるような物語でなかったことは確かです。
とにかく見ている間に想像する「先」を次々に裏切られる映画だった。たしかタマフルの映画評でも言われていたけれど、場面の繋ぎ方がすごく巧みで、「あれ?」って思った場面の次にくるシーンがすごく印象的な導入だったりするため、どんどん引き込まれていくうちに取り返しのつかないところに運ばれていたような気持ちになる。結末を知った上でもう一度見返してみたいと思う映画でもありました。


【以下内容に触れています】


映画の冒頭、少女が父親に「もし魔法を使えたら何をしたいか」というようなことを尋ねるシーンがあった。
父親はそれに「透明になりたい」「誰にも触れられなくなりたい」と答えるのだけど、対する少女の「魔法が使えたらやりたいこと」は、そのままこの映画の内容を暗示してもいて、そのことにまずぞっとする。彼女がそれを予期していた、なんてことはたぶんないんだけど、もしかして?と思わせる魔力はあって、たぶん、そういったまるで伏線には思えないような伏線があちこちにある(あったのであろう)、とても丁寧な映画だったと思う。

見終わってから考えていたのは、冒頭と結末に描かれる「だってないから」という印象的なやりとりのこと。それはいろんな解釈の仕方があると思うのだけど、個人的には、求める相手を間違えた人たちの物語、ということなのかなと思いました。

個人的に不完全燃焼だったのは、少女が夢中になっているというアニメがどういうものなのかよくわからないということ。劇中に少しアニメを見てる描写とかがあるんだからそこで変身シーンとかでも見せてくれればいいのになーって思いました。
やっぱ魔法少女は変身してなんぼですし、って思うのは日本人だからなのかなー。