ちはやふる 上の句


ちはやふる」は漫画も毎巻買っていて、アニメも見ている大好きな作品なのですが、実写映画については当初、見るつもりはありませんでした。
これまで、好きな作品の実写化であればわりと積極的に見てきましたし、漫画の実写化にも好きな作品はたくさんあります(昨年の個人的ベスト10にも「バクマン」や「海街Diary」をいれたくらい)。
じゃあなんで見るつもりがなかったのかといえば、《2作連続公開》であることがわかっていたからです。私はこれがほんとに苦手でね……ここ数年、寄生獣とかソロモンの偽証とか進撃の巨人とか、直前まで原作を読んだり読み直したりして楽しみにしてたくせに、前編だけ見て続きを見なかった(でも完結感を味わってないので消化不良)、というのが続いていたんです。
続きを見なかった理由は、それぞれですが、大雑把にいえば「なんとなく」です。
だからもう2作連続公開の作品を劇場で見るのはやめよう、とか思っていたんです。が、twitterのTLなどで評判を見ていて、これはちょっと見に行った方がいいのではないかと思ってあっさり行ってきました。そしたらこれがとってもよかった。
「大傑作!」とか「大作!」というのとは少し違うと思います。
でも「ちはやふる」という作品の良いところをとてもうまく実写化していた作品だと思うし、それは「ちはやふる」のアニメのスタンスにも似ていたと思います。

(1)キャラクターが良い
ちはやふる」は競技かるたを題材にした青春ストーリーです。
主題歌になったPerfumeFLASH」の歌詞にも出てくる「恋とも全然違うエモーション」についての物語です。
安易に恋愛ものにするのではなく、原作のそういうところをきちんと反映していたのがよかったです。
主人公ちはやは超美少女ですがあくまでも「かるたバカ」であって、競技で全力を使い果たして白眼をむいて眠ってしまったりする。海街ではある意味「素」のような演技に見えたけど、広瀬すずさんはコメディもうまいんだなと思いました。
キャラクターが少し変わっている肉まん君も若干チャラいキャラになってはいるけどチームの中での突っ込み役として活きていたし、奏ちゃん、机くん、太一、新はもちろん、ライバル校のヒョロくんやドSの人(ドSの須藤)もぴったりのキャスティングでした。

(2)全員が主人公

これも原作の良いところなんですが、メインのキャラクターである、ちはや、太一、新の3人だけでなく、チームメイトである奏ちゃん、机くん、肉まん君もまた物語の主人公なのが良い。
映画では特に、当初かるたには興味ないといいつつ入部した机くんが、「かるた部」を自分の居場所にしていくまでの過程をとても丁寧に描いていて、むしろ机くんが主人公だったといっても差し支えないくらいの存在感だったのが嬉しかったです。

(3)かるたの迫力がある

そして実写化のもっとも良かった点はここだと思う。
最初のカルタシーンでの壁に刺さる札!
競技かるたの迫力に説得力があるっていうのは実写ならではの魅力ですよね。
漫画でももちろん迫力あるんだけど、実写での重力を感じる表現とか、スピードとかを感じられたのが楽しかったです。
気合の入ったちはやの眼を映す演出もかっこよかった。


そして最後に、これまで私が続きを見なかった前後編公開作品とはっきり違うところが、
「上の句」だけで1本の映画として完結している。
というところです。これほんとすごく大事だと思う。見終わった瞬間の高揚感があるから、わー次も楽しそう!ってなる。個人的には、えっここでおわり?ってなるより、楽しかったーって見終わる方が続きを見る気になるのかもしれないなと思いました。
そんなわけで下の句も必ず見に行きたいと思います。今度こそ…!