「方舟」読書会/「エゴイスト」の感想

朝の放鳥後、洗濯機をまわしながらルンバを放ちつつベッドで動画を見る。
休日の、予定のない午前中って最高だ。
洗濯機が止まったところで、そういえばとアレクサに天気を聞くと「あと10分後に雨が降ります」と言いだした。
ほんとに? と空を見ると今の所は晴れていたので、一応他の天気予防も確認しつつ、干す方にかける。

昼過ぎからはオンラインで、夕木春央「方舟」について話す会に参加する。
昨年末に同じメンバーで「今年読んだ本」の話をした際におすすめしてもらったうちの1冊だったのだけど、読んで終わりではなく、改めてその感想を話す会ができるのってうれしい。

「方舟」は、「地下建築に閉じ込められ、誰か1人を犠牲にすることで脱出ができる」という状況とそこで起こる殺人事件を描いたミステリーだ。
つまり、倫理学上の問題として有名な「トロッコ問題」にも似た「救うべき人/犠牲になるべき人」を選ぶ方法はあるのかという話であり、それはこの数年で、医療資源は有限であることを目の当たりにした私たちにとって、他人事とはいえない問題でもある。
物語内では「殺人事件」が起こったことにより、「その犯人を犠牲者にしよう」とある意味思考停止させられた状態で犯人探しに走ることになるわけですが……というところに、おそらく作者の描きたいテーマがあったのかなと思う。それから安易に「正解」めいたものに飛びつくことの恐ろしさも。

ちょうどSNSで話題になっていたこともあり、高齢者を犠牲にしよう、と言っている人の話題になったりもしたのだけれど、
そもそも「犠牲になるべき属性」があってはいけないと思う。けれど誰かを犠牲にしなければならない状況はある。例えば医療資源の問題のような場合はどう考えればいいんだ…となっていたところで、参考書を教えていただいたので近いうちに読みたい。
今の所は、少なくとも、若者対老人という対立構造にすることで、若者がいずれ老いるということ/本来喜ばしいはずの成長を「いずれ犠牲にしていい存在になる」ととらえてしまうようになるというのはとてもよくないと思っている。



夕方、洗濯物を取り込み(雨には降られなかった)「エゴイスト」を見にいく。
今週末は見たい作品がいくつも公開されていたのでどれを見ようか迷っていたのだけれど、金曜にサムソン高橋さんの映画評を読んでまず「エゴイスト」をみなくてはとなって行くことにした。

joshi-spa.jp


幾つになっても恋愛ってままならないものね〜!という甘酸っぱさと、線引きと、言葉にならない広大な余白をまとっている主演の2人が素晴らしかった。
それと同時に、恋愛だけではなく、選んだ家族の話になっていくのもとても良かった。
エゴだけど、エゴによって繋ぎ止められている関係でもある。
病院の手洗いで鏡に向かうシーン、冷凍のおかず、さまざまに解釈できる余地が残されているのも良かったな。
帰り道、浩輔が背筋を伸ばして顎をあげて歩くあの感じを思い出して少し涙ぐんだりした。