2022年に読んだ本

自分がどのくらいのペースで本を読んでいるのか知りたくて、昨年はじめて読書系のアプリを使ってみた。
仕事で読んだ本や、資料として飛ばし読みをしたものは除いて、結果はまあまあ予想通りの月4冊/年48冊で、こうして冊数として把握できてしまうと、自分が生きているうちに読める冊数はどのくらいか…というのも目安がついてしまうので、そうそう気軽に積めないなとも思う。

記録をしてみて面白かったのは、自分がどのような流れで本を手に取り、次読むものを選んだのかが思い出せるところだ。
例えば2022年は年始に『同志少女よ、敵を撃て』を読んだあと、参考文献として挙げられていた『戦争は女の顔をしていない』を読んだ。
そして、これらを読み終えた直後に、ロシアのウクライナ侵攻のニュースがあり、Netflixで「イカロス」というドキュメンタリー映画を見た。そして「イカロス」に登場したロドチェンコフ氏の愛読書として『一九八四年』のフレーズが紹介されているのを見て、そういえば読んだことがなかったなと思い手に取った。(ちなみに現在は「ジョージ・オーウェル 『一九八四年』を読む」を読んでいる)

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落合博満ブーム

買ってよかったもの*1にもあげた『嫌われた監督』は自分にとって2022年最大のブームというか影響を受けた本になった。
これをきっかけに読んだ落合監督関連本は計6冊で…、と書いて気づいたけど、野球関連の本は読書という感覚じゃなくてアプリに記録するのを忘れているのも結構あったけどまあいいか。
『嫌われた監督』は原点として、副読本としてよかったのは『証言』(ムック本)、それから中日ファンの友人がすすめてくれた『フクシ伝説』です。


津村記久子ブーム

今年の後半は津村記久子さんブームでもあった。
入院中に『とにかくうちに帰ります』を読んだのがきっかけで、臨場感あふれる「豪雨の中帰宅しようとしている人々」の様子を読むことが、とても良い気分転換になったのだった。
それからサッカー2部リーグを舞台に描かれる群像劇『ディス・イズ・ザ・デイ』は落合さんの講演会を聴きに行く新幹線の車内で読み始めた。これまでスポーツに関わりのない人生を送ってきたので「スポーツを応援するとはどういうことか?」なんてことが気になったりしていたのだけど、そんな自分にはうってつけの本だったと思う。
スポーツファンになるにおいて「過程の正しさ」なんてものはなく、いろんな楽しみ方があるんだということがいきいきと描かれていたし、皆それぞれ応援することで支えられもしている、という点では私がこれまではまってきたものと同じなんだなと思えた。
それから『浮遊霊ブラジル』に収録されている「給水塔と亀」。津村記久子作品における、こういった、特に活躍しているわけじゃないおじさん/おばさんが特に活躍しないまま主人公である様が大好きです。

そんな具合に津村さんのファンになってしまった今年だけれど、思えば2021年にはチョン・セランさんとのオンライントークイベントを見たりもしていたし、その頃から好感はもっていたのだ。でも今はすっかり「私(たち)の作家だ!」みたいな気分なので面白い。今後は新刊が出たら必ず買って読むと思う。


読書

2022年は初めて読書会に参加して、定期的に本についての話をできたのも面白かった。
お互いの感想に共感し合うのもいいけれど、自分と全く違う感想を聞くことができるのが特に「読書会ならでは」という感じで面白い。
『居るのは辛いよ』などは読書会のテーマになったから読んだ本で、そういったきっかけをもらえたのも嬉しかった。


1年の記録を見返してみて気になった点としては、自分は「今年出た本」を予想以上に読んでいない、ということだろうか。
まあ、世の中にはまだ読んだことがない本が大量にあるので「新刊を」読まねばという気持ちはあまりないんだけど、これはつまり映画とかと比較するとあまり「話題作」的なものを手にとっていないということでもある。
ただ、新しいものにはやはり「今」の雰囲気もあるよなというのを『方舟』あたりを読んで感じたりもしたので、もう少し割合を増やしてもいいのかもなと思っています。新刊として読んだ本で面白かったのは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』や『優等生は探偵に向かない』(『自由研究には向かない殺人』の続編)あたりでしょうか。


なんて言いつつ、読書は「読む気になった時」が読み時だと思うので(『とにかくうちに帰ります』が今年ベストタイミングだったように)、とりあえず積んだりもしつつ、今年もその時々のベストタイミングな本をたくさん読めたらいいなと思います。