日常と見たドラマ、読んだ本

わかってはいたことだけど、週6で約3時間あるコンテンツを追い続けていると、他のことをする余裕がなくなる。
特に今年は「1シーズンすべての試合の観戦記録をつけてみよう」と思い立ったのもあり、3月末からここまで、行ける現地はできるだけ行き、外出していて見れなかった試合も帰宅してから追って見る、ということをしていて、なので本当に週18時間以上を野球観戦に費やしているため、当然他のことをする時間は減る。
例えば、圧倒的にSNSを見る時間が減ったし、LINE漫画みたいなweb連載の漫画も追わなくなって、テレビも見なくなった。
その代わりに、歩きながらでも聴ける配信ラジオや時間を問わずにアクセスできるTVerをよく見るようになった。
そんなふうに、目先が変わるのは悪くない一方、明らかに世情に疎くなっている実感もあるので、
とりあえず今年は試しに観戦に全振りしきってみて、来年からはもう少し、落ち着いた感じで応援できたらいいなと思います。

そんな感じの日常ですが、友人に勧めてもらった映画やドラマをみたり、本を読んだりもちょっとはしているので、印象に残ったものの感想をメモしておきたい。

「地面師たち」

友人のお薦め通り「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団 」を読んでから見た。
本を読んだ時の印象は、お金を持ったまま身寄りをなくし年老いてしまう事の恐ろしさというか、弱ったところにやってくる感染症のような事件だなと思った。お金を管理することにはパワーもいるし知識もいる。そして一定以上の資産になると「防御力」が必要になるのだなと思った。

一方のドラマは、現実の事件をモチーフにしつつも、もうはっきりとフィクションとわかるデフォルメ具合だった。
主人公のキャラクターは地面師をヒーロー化しないための配慮でもあると思うのだけど、演技たっぷりの地面師グループと、一転して質感のリアルな市井の人の描き方の真ん中にいて上手くこのドラマのバランスをとっているなとも思った。
特によかった(怖かった)のはリリー・フランキー演じる刑事がハリソン山中(豊川悦司)と対峙するシーン。

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「女の国会」新川帆立

これも友人のおすすめで読んだ。
野党議員、その秘書、新聞記者、地方議員の女たちそれぞれの視点から描かれる群像劇。
中心にあるのは「お嬢」と呼ばれていた与党議員の「自殺」。彼女のライバルとして取り上げられることも多かった野党議員が、その死の真相を探り始めるというところから物語が始まる。

敵対していても、「国会」ではマイノリティである女性としての連帯が垣間見える瞬間(そんなのはない議員もちゃんといる)、党を超え、立場を超えて、チームが出来上がっていくような感覚が、読んでいてとてもワクワクした。
個人的に印象深かったのは、秘書の女性がセクハラを受けたことに対して、上司である野党議員が触れるタイミングだった。
ああいうことは、残念ながら日常茶飯事な時代に会社員になったので、どちらの気持ちもよくわかるように感じた。
それから地方議員の章もよかった。
何より政治の世界を面白く、問題点を指摘しつつも、希望を込めて描いた物語を読めたのが嬉しかった。

「続きと始まり」柴崎友香

2020〜2022年までの日本を舞台に、3人の登場人物の3年間を描いた連作短編集。
あの期間、特に序盤のあまり人に会うこともできなかった頃、私は無性に誰かの日記を読みたいと思っていて、web上にある、直接の知り合いではない人の日記を、書き始めから順に読んでいくなどということをしていた。そして日記がコロナ禍に突入した瞬間、この人の日記と自分の住んでいる世界がつながっているということを強く感じて、なぜかそのことに救われたような気持ちになった。

そんなふうに、直接知っているわけではない誰かの日記でしか得られない心強さというものがあるような気がしていて、この本は(もちろんフィクションなのだけど)その感覚に近い印象があった。自分が住んでいるのと地続きの世界の、誰かの話。