「ウィッグはヒーローマント」と語るアリッサ・エドワーズの魅力

引き続き「ル・ポールのドラァグレース」にはまっている毎日ですが、今日は私の推しクィーンであるアリッサ・エドワーズについて書きたいと思います。

アリッサ・エドワーズ(本名ジャスティン・ジョンソン)
1980年テキサス州メスキート生まれ。
ドラァグクィーンとして活躍しつつ、地元で「Beyond Belief Dance company」というジュニア向けダンススクールを経営するダンサー&振付家でもある。

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アリッサ(ジャスティン/上段真ん中で手をあげている)と教え子たち


ドラァグレースには各シーズン9〜14人のクィーンが出場しているため、現在放送中のSeason11を含めると、すでに140人近くのクィーンが出場したことになります。各シーズンに応援したいクィーンがいたし、今もインスタをはじめとしたSNSの更新を楽しみに見ているクィーンがたくさんいます。
特に好みなのは、S3のラジャやマニラ、そしてS5のデトックス、S7のヴァイオレット・チャチキやミス・フェイムなどといったファッション系のクィーン(ここに挙げた人はみんな好きです)。

しかし、アリッサについて言えば、正直なところファッションが好みというわけではないのです(似合っているから好きだけど)。
私がアリッサを好きなのは、滲み出る人柄の愛らしさはもちろん、勝つための努力を怠らない人だから。
それでいて、繊細だったり、自らのチャームに無自覚であったりする一面が垣間見えるところがたまらないんですよね…。
そうしてアリッサにはまった現在、以前は英語だと思うだけで目が滑っていたというのに、英語の動画を見まくり英語字幕をせっせとgoogle翻訳にかけて試行錯誤する日々を送っています。推しができると壁に見えたものになんとか梯子をかける気になるのですごい。

以下、私がいかにしてアリッサの魅力に気づき、ファンになったのかを書いてみたいと思います。

各シーズンの優勝者などについては触れませんが、Season5とAll Star2の内容に触れますので未見の方はご注意ください!

ドラァグレースとは?という話はこちらに書きました。
ドラァグクィーンたちが表現で競う:「ル・ポールのドラァグ・レース」が面白い - イチニクス遊覧日記


ル・ポールのドラァグレース Season5のアリッサ

私は、ドラァグレースでは「America's Next Drag Superstar」を本気で目指しているんだなと感じるクィーンを応援したくなるタイプです。アリッサもまた、S5の登場シーンからやる気に満ち溢れており、最初から好印象でした。

ただ、因縁のライバル、ココとの再会*1が用意されていたこともあって、2人の諍いをフューチャーされがちな演出が続きます。そんな中、アリッサは何度も「集中したい」「勝つために来た」と繰り返していました。
とはいえ、2人の関係は単なる喧嘩でもないんです。ダンサー兼振付家でもあるアリッサは、その特技を生かしたリップシンク強者でもありました。ココもその実力を認めているからこそ、ダンスチャレンジではアリッサをチームメイトに選ぶし、ココのピンチにココ越しのアリッサを映す場面もあったりしますが、アリッサは普通にハラハラした顔をしていたりする(逆も然り)。そんな風に、単なる仲違いとは違う、熱いやりとりが見れるのもよかった。

しかし徐々に、アリッサは演技やコメディのチャレンジは苦手なことが明らかになっていきます。
ep5のスナッチゲーム*2では、全然似ていないケイティ・ペリーを披露し(しかし前の週に勝って生存権を得ていたためボトムにはならず)ル・ポールから直々に「ツイッターで謝罪しなさい」と言われてしまう始末……。
そこでアリッサは「コメディアンになるためにやってるんじゃない」と発言したりしますが、ドラァグレースでは一つだけ得意な分野があっても勝てないんですよね。「ボトムになってもリップシンクで勝てばいい」と発言してしまう場面もありましたが、やはり連続で勝ち続けることには限界がある。

そしてついに、アリッサは因縁のライバル、ココとのリップシンクで敗退してしまいます。
その回、ル・ポールは「あなたはファニーだし美しい。全てを兼ね備えているけど、長所を活かす方法を知らないみたいね」と評します。

そのように、S5でのアリッサは、やる気はあるけど苦手分野がはっきりしているクィーンだな、という印象でした。
しかし持ち前のちょっと大げさなリアクション(舌を鳴らすタンポップなど)がチャーミングだったり、何か面白いことがあると1人で笑ってたり、背中の肉を指摘されたり、鏡ばかり見ているのを突っ込まれたり……というちょっととぼけた魅力もあって、リユニオンの段階ではかなりの人気者になっていたことが伺えました。
例えば失敗の部類に入る香水のCMを作るチャレンジでの謎キャッチコピー「Alyssa's secret」(シークレットって何?と問われて答えられなかった)が受けて、100本以上もあるyoutube番組になってたりします*3

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AS2の番宣で作られたS5のベストシーン集(公式)


All Stars2での面目躍如!

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All Stars2 のトレイラー

ドラァグレースには、それまでのシーズンに登場したクィーンたちが再集結して競う「オールスターズ」という番組もあります。
基本的な構成はドラァグレースと同じだけど、最後は勝者2人がリップシンクをしてボトムの中から脱落者を決める…というなかなかハードなルール*4

そして私がアリッサにはまったのは、このオールスターズがきっかけでした。

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まず第1話にタレントショーという、各人の得意分野を披露する回があるのですが、このアリッサがまさに水を得た魚だった。アラスカ曰く「これこそまさにアリッサ・エドワーズ」。
もちろん得意のダンスで挑んだんですけど、それだけじゃなくて「背肉は減らしてカムバック」などと自分をネタにした小話も混ぜてくる用意周到ぶり。しかもなかなか真似できないようなすごいスプリット技も入れてきて会場を沸かせます。得意分野だけあって表情は自信に満ち溢れていて、あーーこの人は本当にエンターテイナーなんだなと痛感した瞬間でした。


この自信に満ち溢れた表情が大好き

そして2話目のスナッチゲームもしっかりと準備してきていて、今度こそル・ポールを笑わせます。
さらにおそらく「alyssa's secret」の二の舞を期待して企画されたのかな…?と勘ぐってしまいたくなるCM制作チャレンジ(ep6)でも、自分のキャラクターを活かしたエナジードリンクのCMを作ってクリア。

この辺りで、審査員にウケまくるアリッサに対して「アリッサだからオッケーみたいなのが気に食わない!」と不満を貯めるクィーンもいるのですが*5、S5でのアリッサを見れば「アリッサだからオッケー」なんてことはないのがわかるし、そう見える状況に持っていけたのは間違いなくアリッサの成長なんですよね。
そしてそうやって突っかかられても、アリッサは「どうした?」「リラックスリラックス」みたいなリアクションで全然堪えてないのがすごい。
思えば喧嘩してた時のココにすら「これめっちゃ面白いんだけどww」みたいに話しかける人なので(それにウケてるのはアリッサだけだったりもしますが)基本的に気のいい人なのだと思います。

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ワークルームでパックをしてる姿を見たのはアリッサだけです笑

AS2後のインタビューでアリッサは、「S5の時にル・ポールにファニーと言われて混乱した。私は常にシリアスだったから」と語っています。しかしテレビで自分を見てみて、自らのファニーさに気づき、それを魅力に変える方法を模索して挑んだのがオールスターズだったのでしょう。

スナッチゲームでルーを笑わせた、チェック! 今年は謝らなくていい。コメディチャレンジでも勝った。チェックチェック! ガンガン行くわよ」

このように自らに課題を課して、それをクリアしていくところが最高にかっこいいと思ったきっかけでもありました。

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S5からAll Stars2への変遷について語っているインタビュー


アリッサの人柄が見える「ダンシング・ドラァグクィーン」

netflixには、アリッサを主役にした「ダンシング・ドラァグクィーン」という番組もあります。これはテキサスで子どもたちにダンスを教えるジャスティン・ジョンソンの日々と、アリッサ・エドワーズとしての活動を並行して紹介する、ファンにとっては夢のような番組です。

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それと同時に、この番組ではアリッサの家族の問題についても度々触れられていました。
幼い頃、父親にダンスを習うことやゲイであることを否定されたこと。きょうだい達の薬物問題や逮捕歴。身近に手本となる人がいなかったからこそ、家を出なければと思い、18歳でそれを実行したこと。
S5のuntucked*6に、アリッサの父親からビデオレターが届く回がありました(ep6)。そこであのいつも陽気なアリッサが涙を見せる場面があります。
オールスターズ2(ep7)に妹が現れた場面*7でも、アリッサは再び涙を見せます(実はその日がお母さんの一周忌だった)。
どちらも、アリッサの繊細な側面が見えて、とても胸を打たれる場面でしたが、この「ダンシングドラァグクィーン」ではそのような場面の背景が語られていたりもします。
だからこそ、家を買う場面(ep2)で「愛でいっぱいの家にしたい」と夢を語る様子がたまらなく愛おしく感じられたりもしました。

それから、この番組ではアリッサが恋には非常に奥手であることもわかります。
S5で「エクスタシーを感じている演技」を酷評されたりしていましたが、ダンシングドラァグクィーンで「仕事中心だからシングルなの」と話していたり、ep2でデートをしてみたけど全然話が盛り上がらなかったりする様子を見ているうちに、
そういえばS5のリユニオンで、衣装を酷評したサンティノ(審査員の1人)と「ホテルでも行って仲直りしなさいよ」とルーに茶化され、足をばたつかせて照れたりしていたっけ…と思い出し、かわいいかよ…と思いました。

そんなアリッサを支えるドラァグドーターのシャンジェラやラガンジャとの関係性も垣間見れる、とても素敵な番組です。


「ウィッグはヒーローマント」

ダンスとの出会いは忘れもしない。新聞でダンススクールの広告を見つけて、おじさんの家で芝刈りをしてお小遣いをもらい、ダンスを習わせてもらった。
ダンスは自己表現の手段だった。言いたいけど言えなかったことが動きで表現できた。
昔の自分のような子どもに、ダンスで人生を謳歌してほしい。

ダンスとの出会いについてこう語っていたアリッサにとって、ダンススクールで子どもたちを指導することはとても大事な仕事なのだと思います。
ダンススクールのインスタなどを見ていても、子どもたちを指導することに本当に真摯に取り組んでいるのが伝わってくる。あと時折子どもに負けないくらいピュアで眩しいくらい…。

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さらに、アリッサとしてドラァグをすることについてはこう語っています。

「アリッサは非常口のようなもの。エレベーターが壊れた時の階段みたいなものよ」
「例えるならブルース・ウェイン。日中は経営者の顔をしていて、講師であり指導者。そして夜はウィッグとメイクがヒーロマントなの」

ジャスティンとしてダンスの指導をすることも、アリッサであることも、彼が彼であるために必要不可欠なことだからこそプライドを持って努力するし、明るくハッピーであろうとするのかなと感じたインタビューでした。
ダンシングドラァグクィーンの1話目、ジャスティン(アリッサ)は「勝者は練習する、負け犬は文句を言う」と書かれたTシャツを着てダンススタジオに現れます。
私はいくつかの番組とインターネットの投稿を通してしかアリッサを知らないけれど、S5での悔いをオールスターズで覆してみせたアリッサを表している言葉だなと思いました。

本当にかっこよくてゴージャスで、大好きなクィーンです…!!

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*1:2人は元々友達だったけれど、ミスコンでアリッサが優勝した後、その権利を剥奪され、2位だったココが1位に繰り上がったという経緯があり、2年間口をきいていなかった状態で再会した

*2:有名人のモノマネをする定番のチャレンジ

*3:Alyssa's Secret - YouTube

*4:今の所、S1のみ異なるルール

*5:その気持ちもわからなくはないけど

*6:審査中のバックステージの様子を収録したサブ番組

*7:それぞれの家族の変身チャレンジがあった

2019年のゴールデンウィーク

2019年のGWは10連休らしい、ということは知っていたけれど、実はなぜ10連休になるのかは直前までわかっていなかった。なんとなくすべてがオリンピックのせいのような気がしていたけれど、あらたな元号発表とともに改元は5月1日に行われると知り、「もしかして今年の10連休って改元だから?」「いまごろ!?」みたいな会話をしていたくらいだ。


そんな平成の終わりに何をしていたかというと、私はマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)にはまっていた。
10連休には興味があっても、なぜ10連休になるのかを知らなかったように、MCUのことも、興味はあれど「なんかたくさんあるから」と後回しにしたままだった。
履修をはじめたのは、エンドゲームという“最終章”の映画が公開されるらしいと知り、そうなったら絶対そのタイミングで見たくなるに決まってるから……というミーハー心ゆえのものだったのだけど、GWに入る頃にはまんまと、「せめて3年くらい前から追いかけていたかった……」なんて思っていたし、公開当時に見た際はハルク以外のキャラクターがわからなかった「アベンジャーズ」も、公開順に見ていけば、ヒーローが大集合するお祭りみたいな最高映画に感じられた。
ヒーローそれぞれの物語を知ったうえで「集合体」を見ることの、個別の物語がお互いに反応しあって輝く感じ。つまりアベンジャーズはドームコンサートだな……なんて納得の仕方をして、GW2日目にエンドゲームの予約をした。そして見た。このタイミングで一気に見たからこそ全ての記憶が新鮮で、そういう意味では良いコンディションでの鑑賞だったと思うけれど、やはりあともうちょっと、この物語の完結を夢想していたかったという気もした。
見た足で友達と合流してビールを飲みながら涙ぐみつつヒーローたちを讃える会をやった。5時間くらい喋ってたのに気づけばMCUの話しかしてなくて笑った。

GWの初日はバス旅行に行った。気心の知れたメンバーと親戚旅行みたいなテンションで、のんびり花を見たり、お弁当を食べたり、生まれて初めて「イチゴ狩り」をしたりした。普段めったに果物を食べない生活をしているため、おいしいいちごを食べてしみじみ感動してしまった。
実家で果物を積極的に食べるのは父親だけだったので、果物を見ると父親を思い出す。子どもの頃、父のコンデンスミルクを勝手に食べて(スプーンに出して舐めていた)は怒られたものだ。

いわゆる「平成最後の日」は実家にいた。
平成最後の日だから集まったわけではなく、GW中に皆の都合があうのがそこしかなかったのと、翌日が弟の誕生日だからだ。昼ごはんは手巻き寿司だったが、母が北海道から買ってきたうにがとてもおいしく、皆がうにばかりを狙い撃ちしていた。食後は甥っ子と遊んだり、兄弟でカードゲームをしたりした。インサイダーゲームという、伏せられたキーワードを会話で探りながらインサイダーを探すというゲームがとても面白く、全員めちゃくちゃ早口でキーワードを当てにいくスタイルなのが似すぎてて大笑いした。いい平成最後の日で、「誕生日おめでとう、明日だけど」と言って別れた。

インサイダーゲーム

インサイダーゲーム

友人たちと横浜で中華を食べた日には、中国式の獅子舞が各店を訪れるお祭りのようなものをやっており、友人2人が獅子舞(のようなもの)に噛まれたので無病息災でめでたかった。「令和」と書いてある月餅が売られていたりもして、そこはかとなくめでたい気分を味わう。

髪を切りに行った日にも、エンドゲーム後の友人と急遽予定を合わせてMCU話をした。
いろんな人の感想を読んでいくと、やはり長いシリーズだけに、それぞれに思い入れを携え劇場に向かっているのだなと感じる。そして、その高揚感みたいなものが、やはりドームコンサート(概念)みたいだなと思ったりする。こうして映画を見てすぐ勢いで集まって喋る……みたいな、まるで炭酸水が胸元でずっとくすぶってるような感覚は久しぶりだった。

MCUにはまったとはいえ、引き続きドラァグレースにもはまっていて、令和最初の日には念願のドラァグレース会もした。カラオケ店でテレビにPCをつなぎ、推し(アリッサ)の最高シーン特集をしていたらあっという間に3時間が過ぎていて笑ってしまった。カラオケ店を出た後も、飲みながら延々とRPDRやクィーンたちの話をしていて、大変充実した1日でした。楽しすぎた。
お店の店員さんに「令和最初のご予約をどうも」と言われ、そういや今日からかと思いだしたんだけど、令和もこうして好きなものにわくわくしていたいものです。
GW中は、別の友人にも「ドラァグレース見てるよ!」と声をかけてもらい、その時も嬉しくてめちゃくちゃ早口になった。RPDRは本当に楽しい。この楽しさについて、もうちょっとうまく言語化できるようになりたいなと考えているところ。

家でポテトチップスサンドを作った日もあった。これはとてもうまくできたので今後もより良い(自己流のではあるけど)レシピを探っていきたい。
掃除へのモチベーションをあげるために「KONMARI」を見はじめ、「クローゼットの中身を全部ベッドの上に出す」というステップを真似してみたりもした。
これは確かに良い方法で、一度出して全部を目の当たりにすると、必要なものと不必要なものがわかりやすくなるし、自分が持っている服の再確認にもなるため、久しぶりに着たいと思える服も見つかって嬉しかった。
結果的にクローゼットの中身を1/3程度減らすことができたのでこれは成功だったと思う。

GW最後の日は、友人の家に集まった。かつては毎晩のようにファミレスに集ってはくだらない話をしていたメンバーだったけど、全員が集まるのはとても久しぶりでーーそれこそが問題だったのだと私たちは薄々気づいていたにもかかわらず、長らく動けずにいたのだ。
荷物の整理をしていたら見つけたという、過去の自分が送った手紙類を見せてもらい、そのあまりのくだらなさに笑ったりもしたけれど、そこからずいぶんと遠くに来たことを感じたりもした。
でも今またこうして顔をあわせて話せているということは、少なくとも良いことに数えられるだろう。

いわゆる節目らしいことはなにひとつしていないけれど、いつか、平成の終わりは何をしていたっけな〜と振り返った時に、いい10日間だった、と思えるような気はする。
ただ、この落ち着きのなさは、この日記をはじめたときのプロフィール文「あたまのなかくらいきちんとかたづけたいのになかなかうまくいかない」が放置されてきた証拠でもあるため、新しい年号では少しくらい頭の中が整理できていることを願ってみる。

両方見るとより楽しい! 舞台「キンキーブーツ」と「ル・ポールのドラァグ・レース」

舞台「キンキーブーツ 」を見てきました*1
見てる間中ずっと楽しくて幸せで、そんな気持ちが目から溢れてしまうくらい、最高の最高に楽しかったです。
2016年版(一回だけ見に行けました)ももちろん素晴らしかったのだけど、今回はさらにキャストの魅力がパワーアップしていたように感じます。
本当に目が足りなくて、ずっと見ていたかった…。

初演の頃はまだドラァグクィーンがどのような存在なのかほとんど知らずにいたのですが、今回は「ル・ポールのドラァグ・レース」(ドラァグ・クィーンのリアリティ番組)にはまっている最中と言うこともあり、なるほど!と思うところも多かった。
そんなわけで、浅い知識ではありますが、せっかくなので、私が感じた「キンキーブーツ 」と「ル・ポールのドラァグ・レース」両方見ると楽しいと思うポイントを中心に、感想を書いておこうと思います。

〈キンキーブーツあらすじ〉

イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗の靴工場「プライス&サン」の4代目として産まれたチャーリー・プライス(小池徹平)。彼は父親の意向に反してフィアンセのニコラ(玉置成実)とともにロンドンで生活する道を選ぶが、その矢先父親が急死、工場を継ぐことになってしまう。
工場を継いだチャーリーは、実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、途方に暮れる。
従業員のひとり、ローレン(ソニン)に倒産を待つだけでなく、新しい市場を開発するべきだとハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)にヒントを得て、危険でセクシーなドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をする。
チャーリーはローラを靴工場の専属デザイナーに迎え、ふたりは試作を重ねる。型破りなローラと保守的な田舎の靴工場の従業員たちとの軋轢の中、チャーリーはミラノの見本市にキンキーブーツを出して工場の命運を賭けることを決意するが…!
ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」公式サイト

ドラァグレースについては、こちらに書きました。
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ローラとエンジェルスについて

再演とはいえ初めて見るお客さんだって多いはずなのに、ステージにローラが現れたとたんに割れんばかりの拍手喝采になるのがすごかった。それによって、演出が途切れるわけではなく、その喝采がまるで「ローラ」を待っていたクラブのお客さんのもののように感じられて劇場の密度ぎゅっと濃くなる。これはやっぱり、三浦春馬さん演じるローラの迫力によるものだと思います。
ドラァグレースではドラァグスーパースターの条件として「charisma uniqueness nerve and talent」が掲げられていますが、ローラはその全てを兼ね備えているな~と思いました。

ドラァグレースはアメリカの番組なので、キンキーブーツの舞台となるイギリスのドラァグクィーン事情や日本のドラァグ文化とは異なる部分もあるかと思いますが*2、ローラとエンジェルスの関係については、先輩格のローラを中心としたドラァグファミリーに近いものなのかな?と思いました。
そう思って見ていると、ローラが一番細くて高いヒールを履いてるのも、このチームのドラァグマザーであり女王だから、って感じがしてかっこいいです。(もちろんそれで歌もダンスも決めてくる三浦春馬さんがすごい)

ドラァグクィーンとデザイン

「キンキーブーツ 」の1幕、チャーリーがローラをデザイナーにスカウトする場面で、「スパンコールとグルーガンで夢の王国を作ることならできるけど(大意)」みたいに返す場面は、ドラァグレースにもよく出てくるやりとりです。
ドラァグクィーンは「着飾る」存在だし、だからこそドラァグレースでも衣装作りは重要な課題として位置付けられています。でももちろん全部のクィーンがミシンを使えるわけではなく…。
そこで登場するのが「グルーガン」。DIYなどでもよく使われる、接着剤を熱する道具で、溶かした接着剤が固まることで強力な接着ができる…というもの。ドラァグレースでは、なんとこれだけでゴージャスなクチュールドレスを作ったクィーンもいました。


season6に出演したベン・デラ・クリームのこのドレスがグルーガンで作られたもの…!

そして「スパンコール」…! ドラァグレースでは「sequin(シークィン)」という呼ばれ方をしていることが多い気がしますが、スパンコールでグリッターなドレス、というのがランウェイテーマになるくらい、ドラァグでスパンコールは大事な素材です。
そして彼女たちがキラキラを愛しているのを見るたび、それをまとうことが夢を生きることに重なって見えてグッとくるのです。
だからこそ、チャーリーが何度も靴の作り直しを命じる場面、ついにヒールがキラキラしたのを見た瞬間、めちゃくちゃ綺麗で感極まってしまいました…。

ドラァグクィーンと家族

劇中、ローラが周囲に合わせるために「ローラ」を封じて現れる場面があります。ローラの「向かうところ敵なし」のパワーから一転して、自分の「らしさ」を封じた状態がいかに心細く居心地の悪いことなのかを見せる。それによって、彼にとってローラがどれほど大事なものなのかがよくわかる重要な場面です。
その後、チャーリーとローラがお互いについて打ち明けあい、共通点を見出すのですが、そこで歌われるのが「not my father's son」という曲。2人とも、父親の理想の息子になれなかったと考えていて、それが後悔であったり心に負った傷だったりする。

ドラァグレースでも、クィーンたちがこんなふうにお互いについて打ち明けあう場面がそこここに見られます。そして、ローラと近い体験をしているクィーンが本当に多いことにも驚かされます。
それでも、知る人が増えていけば、受け入れることが当たり前な社会へと変わっていくという期待はある。「キンキーブーツ 」も「ドラァグレース」もそのための1歩になっている作品なのだと思います。

ドラァグクィーンとランウェイ

靴のデザインをする物語なので、ラストシーンがランウェイなことに何の疑問も持っていなかったのですが、RPDRを見ていると、ドラァグクィーンの文化にとって「ランウェイ」はとても重要なものなのだとわかります。
RPDRは、80年代ハーレムのゲイカルチャーから生まれた、ダンスやファッションで競いあう「ボール・ルーム」というイベントを元にしているそうですが、
ローラがデザインの実力を発揮するのも、ラスト、ランウェイを盛り上げて見せるのも、おそらく彼らがそのような文化の中に生きてきたからなんだなと思いました。

ちなみにドラァグレースでは、ヒールが低いと必ず審査員に「ずいぶん弱気ね?」などとツッコミが入ります。でもローラのヒールはル・ポールだって褒める高さだったと思います。あのピンヒールであれだけ踊るのは本気ですごい…。クィーンの中には「もちろん靴の中は血まみれよ」とか「踊っても脱げないように靴の中にテープ貼って固定するの」なんて人もいます。それでもヒールを履くのは、それが最高にかっこよくなるために必要だからなんですよね…。

ドラァグクィーンとは?

初めてキンキーブーツを見た頃は、ゲイカルチャーの中から生まれたものであるということは知っていても、彼らが何を求めて異性装をするのか、正直なところよくわかっていませんでした。
けれどドラァグレースを見ているうちに、それは単なる「女装」ではなく(中にはトランス女性もXジェンダーもいるし)、自己表現であり、自由になるための第一歩なのだと感じるようになりました。
ドラァグをやる理由はもちろん人それぞれだけど、ドラァグキャラクターは自分のペルソナだと語るクィーンは、少なくともRPDRの中では、特に多い気がします。
そうやって自分の理想を具現化して生みだした「クィーン」だからこそ、皆最高に美しい自分を誇らしく思っているんですよね。その様子が見ていてとても気持ちが良い。
私の推しクィーンは「ウィッグはヒーローマント」だと語っていましたが、現実に立ち向かうために、ウィッグやスパンコールで自分を飾ってハイヒールで歩きだすというのは、「キンキーブーツ 」のローラのあり方とも共通しているなと感じました。

キンキーブーツを好きな人にぜひドラァグレースをみてほしい!

いろんな人のドラァグレース感想が読みたい!という私の下心なのは最初に白状しておきますが、このダンスパフォーマンスはキンキーにおけるローラとエンジェルスたちのパフォーマンスにちょっと近いとこあると思うのでぜひ見てほしいです。

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ちなみにこれはドラァグレースS7の最終回(優勝者の発表)前のパフォーマンスなので、S7のハイライトのリミックスが音源になっていたりしますが、彼らもそれぞれドラァグレースに出場しています(アリッサ=S5、シャンジェラ =S2とS3、ラガンジャ=S6)。

最初に出てくるアリッサ・エドワーズ(私の推しです)と、そのショーを手伝ったりしているドラァグドーター(というよりシスターかもしれない)のシャンジェラとラガンジャ3人のパフォーマンスです。
この関係性もローラとエンジェルスにちょっと近いところがあるなと思ったのと、ピンヒールでランウェイを使って踊りまくるかっこ良さが近いのではと思いました。それから、2分くらいのとこで出るスプリット(立ったまま開脚して床に落ちるドラァグクィーン定番の決め技)はキンキーのエンジェルスもやっていましたね!

ドラァグレース本編はランウェイが中心ですが、ダンスや演技、歌のチャレンジもありますし、その準備をする作業部屋でのクィーンたちのやりとりを見るのも楽しいです。

最後に

ドラァグ周りのことばかり書いてしまいましたが、もちろんローラとチャーリーを取り巻く人々も皆素敵。特に好きなのはソニンちゃん演じるローレンが恋に落ちちゃう場面。あんなのもう好きになるしかないし、それでいてニコラを悪役にしないのもこの舞台の好きなバランスです。
それからドンとローラの対決シーンの演出もめちゃくちゃかっこいい。クィーンの足でリング作るのもお尻にゴングがついてるのも最高にキュートだし、ローラが何をしたのか、エンジェルスがちゃんと把握して動いてるのもよかった…。
ほんと出てるキャラクター皆好きになってしまう舞台だと思います。

自分を受け入れ、相手を受け入れる。そうすることで自分と世界をもっと好きになれる。そんなポジティブなメッセージがまっすぐに伝わってくるのが「キンキーブーツ 」の大好きなところです。

*1:2019.4.20昼公演

*2:ドラァグレースは現在UK版が制作中?とのことです

四角いピザ

彼女と仲良くなったのは高校2年の時だった。出席番号で隣の席になって、合唱の練習中(私たちが通っていた高校では毎年クラス対抗の”合唱コンクール”が行われていた)、楽譜で口元を隠しながら遊びに行く約束をしたのを覚えている。
彼女の家はイタリアンレストランを営んでいて、私は彼女の家で生まれて初めて、ドミノピザではないピザを食べた。ポテトチップスをはじめとした「パリパリとした食感」の食べ物が好きな私にとって、そこで食べたクリスピーなピザは衝撃的なおいしさだった。作ってくれたシェフこと彼女のお父さんに「こんなおいしいピザを食べたのは生まれてはじめてだ」と伝え、その後もおじさんのピザをたべるたびに初めて食べたとき自分がどんなに感動したかという話をした。
おじさんは私のことをよく覚えてくれていて、彼女が呼ぶように私のことをあだ名で呼んだ。お店の食器を買いに行くのに連れて行ってくれたこともあるし、毎年クリスマスが近づく頃に“メニューの相談”と称してあれこれ試食させてくれもした。
進路は別だったが、大学生になってからも彼女の家にはよく遊びに行ったし、主に閉店後の「店内」で毎週のように話をしていた。今思うと何をそんなに話す事があったのだろうと思うが、お互いにあった出来事の大半を共有していた時期があったのは確かだ。業務用のコーヒーマシンをドリンクバーがわりに延々と居座る私たちを、おじさんは常に歓迎してくれた。


彼女が結婚して電車で2時間ほどかかる場所へ引っ越しをしたのは10年ほど前のことになる。
当時、2時間というのは大した距離ではないように思っていたし、実家に戻ってくればいつでも会えるような気がしていたのだけれど、
実際は連絡の途絶える時期が続き、年に数回、誕生日やお正月に「元気?」「相変わらずだよ」という程度のやりとりをするくらいになって、そのうちに彼女の実家のレストランも後を継ぐ人がいないという理由で閉店してしまった。


先日の朝、彼女からのメールで目が覚めた。
そこには、おじさんが亡くなったことと、彼女が今は実家に帰ってきていることが簡潔にかかれていて、こんなときだけ急に連絡をしてごめんねと結ばれていた。それは全くごめんねをいう必要なんてないことだ。けれど、そのくらい私たちの間には間隔があいてしまっていたのだということがショックだった。
呆然としつつ、慌てて喪服を引っ張り出し(よく見たら夏物だったので代わりにクリーニングタグが付いたままの黒のスーツを出して)お通夜にむかった。
顔を合わせるのは5年ぶりくらいで少し緊張していたのだけれど、顔を合わせてすぐに、そんなものは一瞬で溶けた。同時に随分痩せてしまった彼女の手を握りながら、なぜもっと早く会おうとしなかったのだろうと後悔してもいた。私自身は相変わらずでも、相手がそうであるとは限らないのだ。誕生日でもお正月でも、メールで済ませず、会いたいと言えば会えていたかもしれなかったのに。

おじさんは痩せてしまっていたけれど、でも私の知っているおじさんのままだった。
お通夜のあと、親族の方にまぜてもらってお寿司を食べながら、彼女の複雑な近況と、おじさんの闘病についての話を聞いた。おじさんは家に帰ってきてからはとても調子がよく、治ったら世界一周旅行に行く計画をたてていたのだという。
そうして私はまたあのピザの話をしていた。四角い鉄板に乗ってでてくるのも、生地がパリパリなのも、ゴルゴンゾーラチーズもそれに蜂蜜をかけるのも、ぜんぶおじさんの料理が初めてだった。
それを聴きながら彼女は「相変わらずお父さんのピザが好きだね」と笑った。

「ル・ポールのドラァグ・レース」S1からS5の感想

ドラァグレース」にはまっている…という話は前回一通り書いたので、今回は、シーズンごとの感想&私の推しクィーンとオススメポイントを書いてみたいと思います。まずはシーズン1から5まで。

前回の記事
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優勝者についてのネタバレは避けますが、それ以外の内容には触れるのでネタばれにご注意ください…!

最初の“america's next drag superstar”が誕生した「Season1」

番組の現在の様子と比較すると若干予算が少ない感はありますが(賞金の金額も全然違う)、基本的なチャレンジの構成や、出場クィーンに多様性を持たせる(アジア系、プエルトリコ系、プラスサイズクィーンは必ず入れるなど)などの理念はすでにこの頃から出来上がっていたと思います。
そして、やはり最初のシーズンということもあって、「america's next drag superstar」を選ぶことにかなり慎重になっていると感じるシーズンでした。
私の推しはニナ・フラワーズ! スキンヘッドでパンクスタイルの似合うプエルトリコのクィーンなんですが「もうちょっと他のスタイルもみたい」的なこと審査員に言われてすぐにランウェイに反映する柔軟性もある。E6テーマにあわせて3つのスタイルを作るボール回でのミス・マンゴーが好きでした。
それから忘れられないのはオンジャイナ。E4の「Mac Viva-Glam」(コスメブランドMACエイズ基金)の広告を制作するチャレンジで、人生をセレブレートしようと謳った彼女は、今週のトップであると告げられて泣き出してしまいます。良い結果なのになぜ泣くの?と問われ、彼女は「HIVポジティブである私にとってこの優勝はかけがえのないものだから」と答えたのでした。
それまで作業部屋で一番明るく振舞ってきた彼女だからこそ、その告白と彼女の作った広告には説得力があって、見ているこちら側まで勇気付けられるような回でした。

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いかつめのメイクが多いニナですがS1ではガラリと雰囲気の変わるランウェイもあります!素顔も可愛い


クィーンたちのバトルが繰り広げられる「Season2」

9人だったシーズン1から3人増えた12人でスタート。このシーズンから人数の多い前半はグループに分かれて戦う課題が増えてきます。ドラァグを始めてまだ5か月(!)という新人クィーン(シャンジェラ)から、現在はル・ポールのメイク担当をしている実力派(レイヴン)まで、現在のドラァグレースに関係するクィーンがたくさん出てくるシーズンでもありました。
ただ、S2は全体的に喧嘩が多いので、シーズン2から見始めるというのはもしかするとちょっとハードルが高いかもしれません笑
推しはレイヴンですがこのシーズンのレイヴンはちょっと怖かったので、レイヴンのこと好きになったのはAS1を見てからです。タチアナも好きだけど好きになったのAS2から…。ASだけでなく、SNSなどで活動を追い始めてみて思うのは、当たり前ですが、1シーズンを見ただけではそのクィーンのことわからないものだな~!ということでした。
好きだったのはE5の結婚式チャレンジ(男装の自分とウェディングドレス姿の自分の写真を撮る)。あの回のタイラはほんとうにきれいでしたね…。


衣装作りチャレンジ最多の「Season3」

衣装作りのチャレンジがとても多い、おそらくこれまでのシーズンで最も過酷だったシーズン。終盤戦は皆があきらかに疲労困憊で心配になりました。
ただ、ランウェイの完成度はとても高く、個性の強いクィーンたちが自分のスタイルを貫いていく様子はとても見ごたえがありました(私は衣装作りの課題が一番好きです)。
そしてこのシーズンには好きなクィーンがたくさんいます…!

まずはラジャ。もともとモデル出身でファッションセンスがよく基本は穏やかな人だと思う。ラジャに関してはほんと全部のランウェイが好きだったな…。それからE10に、自分でレコーディングした曲でライブをする…というチャレンジがあるのですが、レコーディングされた音源を聴きながらテンション上がって駆け回ってる(それまでだいたい落ち着いてた)ラジャは完全にギャップ萌えでした。ラジャの、「年齢とか性別にとらわれない新たな生き物になりたい」という言葉が好き。
そしてマニラ~!マニラは美とコメディセンスを併せ持ったタイプで特にAS4では圧倒的でした。
さらにシャンジェラ!S2からのカムバックです。私の最推しであるアリッサ(S5)のドラァグドーターでもある。

シーズン中盤あたりで、このラジャ&マニラにデルタ、カルメンを加えた仲良し組が「ヘザーズ」を結成します。細かなニュアンスは把握しきれなかったのですが、おそらく自分たちを「いけてる組」として”ヘザーズ”と呼び、そのほかのクィーンを「いけてない組」として”ブガーズ”と呼ぶ…みたいな感じです。
こう書くと本当感じが悪いのですが、ブガーズ扱いされてたグループの筆頭であるシャンジェラが強いので、個人的にはいじめというよりは喧嘩…というイメージで見ていました。(リユニオン見ると他にもいろいろあったのかなとは思うけども)
個人的には、ヘザーズという呼び名はさておき、4人は今も仲良しなので(マニラのMVにも4人ででていた)尊いなと思っています。
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MVで勢揃いしたヘザーズ


ハロウィン・ナイト「Season4」

諍いが多めなseason2や3と比較すると、S4はかなり平和なシーズン(一部衝撃的な場面もあるけど)だと思います。そしてその平和はラトリス・ロイヤルとチャド・マイケルスの年長者組のおかげだとも思う。
E10の「セクシーなお父さん(一般人)を妊婦姿に変身させる」というチャレンジで、保安官代理だというシャロンのパートナーがチャドに失礼な言葉をなげかけます。そこでチャドが「文句があるならケツを蹴れ、あんたもムショに入れてやる」と言い返すわけですが、番組内でチャドが声を荒げたのはここだけだったと思う(シャロンもシスターを悪く言わないで、とフォローする)。他者を尊重しつつ、言わなければならないことにはきちんと抵抗する。まじで尊敬できる…と思った場面でした。(しかも翌日「いいストレス発散になったよ」と笑って流す…大人…)
そんなわけでS4の推しはチャドです。シェールのモノマネが十八番なんだけど、ランウェイは常にチャド自身で、優雅。

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それから忘れてはいけないのがシャロン。ハロウィンを愛し、ホラー的な演出を好むクィーン。「整形した人に魅力を感じる」と話すシャロンのスタイルはこれまでのどのクィーンにも似ていなくて、そして今も、シャロンみたいな人は(すくなくともドラァグレースには)出てきてないところが、彼のスタイルが彼の個性であった証左だと感じました。


主張が強いクィーンが揃う「Season5」

個性の強いクィーンがたくさんいて誰が残るんだか全然読めない、楽しいシーズンでした。
例えば、出場者の一人に前シーズンに登場した人気者シャロンの恋人アラスカがいるんですが、当然シャロンと比較される…というプレッシャーを感じながらの出場なのでそこにもドラマがある。さらに、そのアラスカとデトックスロキシーでチームを「ロラスカトックス」を結成する場面は、S3の「ヘザーズ」を思い出してちょっと嫌な予感が漂ったりもする。
ナルコレプシーを患っているジンクスのコメディクィーンっぷりに感心しつつ、突然投下されるwerkroon(作業部屋)内の恋バナに皆がニヤニヤしたり、過去に出場したミスコン関連で因縁のあるアリッサとココのバトルが気になったり。本当にドラマだらけのシーズンです。
あと、それぞれ得意分野があり、決めるべきときにばっちり決めてくれるクィーンが多く、本気で優勝を狙ってる人ばかりなのが見ていて楽しかった!

推しはとにかくアリッサ・エドワーズ! とても美しくて自信過剰に見えるとこもあるんだけど(自分のランウェイに「Always & Forever, Alyssa Edwards」てナレーションつけたり笑)鏡見過ぎで突っ込まれてたり、背中の肉(backrolls)を指摘されてもなおスナック食べてたり…。いろいろ抜けていて憎めない。untuckedでは、両親の離婚以来疎遠になっていた父親からのビデオレターが届き涙を見せるという一面もありました。
あと、カメラは明らかにココとの対立を煽りたい感じに撮影してるんだけど(ココ越しのアリッサとかその逆とかで映す構図がよくある)、なんだかんだ隣にいること多いし、ココがうまくやったあととかハグしてるし、チームになったらちゃんと話してるし、私情で目標を見失わない感が好きです。
あと香水のCMを作るチャレンジで、香水の名前を「alyssa's secret」に決めたものの「秘密って何?」と問われてもちゃんと答えられず低評価になるんですが、その後そのキーワードが受けたのか「alyssa's secret」っていう番組*1をやってるのとかも面白い。とはいえ、私がアリッサに完全にはまったのはAS2やダンシングドラァグクィーンを見てからなのでそれについてはまたあらためて。

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ランウェイが好きなのはデトックスです。ロラスカトックスにこだわって最も損(?)をしたのはデトックスだと思うんですが、一番ロラスカトックスを大事にしてるのもデトックスなんですよね…。こればかりは仕方がないけどAS2では見たかったデトックスを見せてくれたと思います。
それからジンクスも好きだな〜。終盤かなり孤軍奮闘になるのですが、自分のスタイルを貫いて、周りの人を攻撃しないとこが愛おしいなと思いました。
S5で一番好きなリップシンクロキシーVSアリッサ。「Whip My Hair」という曲に合わせたロキシーのウィッグonウィッグは衝撃でしたし、そしてそんなロキシーに負けじと執念のリップシンクを見せるアリッサもかっこよかった。ラスト完全に崩壊したヒールを脱ぎ捨て裸足でロキシーをハグしてたのにぐっときました(推し目線なので…)。


……と、長くなってしまったのでS6以降についてはまた書きます!

untuckedとAll Starsを見るには

ところで、気になるクィーンがいたら、untucked(審査中のバックステージ番組)とAll Stars(過去シーズンに登場したクィーンが集結したドラァグレース)もみたくなりますよね。そんな時にはRPDRの全シーズンと関連番組が色々揃っているWOW Presents Plusがあります…!

WOW Presents Plus

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  • World of Wonder Productions
  • エンターテインメント
  • 無料

現在NetflixではS1からS10とAll StarsのS4が視聴でき、S11については本国放送の1週間遅れで週1回1話ずつ公開されています。合わせてS11についてはこれまでのシーズンにもあった「untucked」が「素顔のクィーンたち」というタイトルで公開されています。(2019.4月現在)
しかし、Netflixで公開されていない、All Starsの1から3や過去シーズンのuntuckedについても、このWOW Presents Plusというアプリ経由で見ることができます。月450円で見放題。
アメリカの配信サービスなので日本語字幕はありません。なので英語が得意ではない私はしばらく二の足を踏んでいました。けれど、推しができてしまったら見れるものは全部見たい。
untuckedなどは特に会話の応酬なので聞き取るの難しいですが、英語の字幕も出せるので調べながらなんとか見ています(iPhoneアプリで登録してももちろん、webでも見ることができます)。これでちょっとは英語力も上がったらいいなーと思いながらひたすらクィーンたちのやりとりを聞き取りしている毎日です。
でもできればNetflixに全部字幕付きで公開されてほしい…!!(理解しれないのがもどかしいので)