引き続き「ル・ポールのドラァグレース」にはまっている毎日ですが、今日は私の推しクィーンであるアリッサ・エドワーズについて書きたいと思います。
アリッサ・エドワーズ(本名ジャスティン・ジョンソン)
1980年テキサス州メスキート生まれ。
ドラァグクィーンとして活躍しつつ、地元で「Beyond Belief Dance company」というジュニア向けダンススクールを経営するダンサー&振付家でもある。
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アリッサ(ジャスティン/上段真ん中で手をあげている)と教え子たち
ドラァグレースには各シーズン9〜14人のクィーンが出場しているため、現在放送中のSeason11を含めると、すでに140人近くのクィーンが出場したことになります。各シーズンに応援したいクィーンがいたし、今もインスタをはじめとしたSNSの更新を楽しみに見ているクィーンがたくさんいます。
特に好みなのは、S3のラジャやマニラ、そしてS5のデトックス、S7のヴァイオレット・チャチキやミス・フェイムなどといったファッション系のクィーン(ここに挙げた人はみんな好きです)。
しかし、アリッサについて言えば、正直なところファッションが好みというわけではないのです(似合っているから好きだけど)。
私がアリッサを好きなのは、滲み出る人柄の愛らしさはもちろん、勝つための努力を怠らない人だから。
それでいて、繊細だったり、自らのチャームに無自覚であったりする一面が垣間見えるところがたまらないんですよね…。
そうしてアリッサにはまった現在、以前は英語だと思うだけで目が滑っていたというのに、英語の動画を見まくり英語字幕をせっせとgoogle翻訳にかけて試行錯誤する日々を送っています。推しができると壁に見えたものになんとか梯子をかける気になるのですごい。
以下、私がいかにしてアリッサの魅力に気づき、ファンになったのかを書いてみたいと思います。
各シーズンの優勝者などについては触れませんが、Season5とAll Star2の内容に触れますので未見の方はご注意ください!
ドラァグレースとは?という話はこちらに書きました。
ドラァグクィーンたちが表現で競う:「ル・ポールのドラァグ・レース」が面白い - イチニクス遊覧日記
ル・ポールのドラァグレース Season5のアリッサ
私は、ドラァグレースでは「America's Next Drag Superstar」を本気で目指しているんだなと感じるクィーンを応援したくなるタイプです。アリッサもまた、S5の登場シーンからやる気に満ち溢れており、最初から好印象でした。
ただ、因縁のライバル、ココとの再会*1が用意されていたこともあって、2人の諍いをフューチャーされがちな演出が続きます。そんな中、アリッサは何度も「集中したい」「勝つために来た」と繰り返していました。
とはいえ、2人の関係は単なる喧嘩でもないんです。ダンサー兼振付家でもあるアリッサは、その特技を生かしたリップシンク強者でもありました。ココもその実力を認めているからこそ、ダンスチャレンジではアリッサをチームメイトに選ぶし、ココのピンチにココ越しのアリッサを映す場面もあったりしますが、アリッサは普通にハラハラした顔をしていたりする(逆も然り)。そんな風に、単なる仲違いとは違う、熱いやりとりが見れるのもよかった。
しかし徐々に、アリッサは演技やコメディのチャレンジは苦手なことが明らかになっていきます。
ep5のスナッチゲーム*2では、全然似ていないケイティ・ペリーを披露し(しかし前の週に勝って生存権を得ていたためボトムにはならず)ル・ポールから直々に「ツイッターで謝罪しなさい」と言われてしまう始末……。
そこでアリッサは「コメディアンになるためにやってるんじゃない」と発言したりしますが、ドラァグレースでは一つだけ得意な分野があっても勝てないんですよね。「ボトムになってもリップシンクで勝てばいい」と発言してしまう場面もありましたが、やはり連続で勝ち続けることには限界がある。
そしてついに、アリッサは因縁のライバル、ココとのリップシンクで敗退してしまいます。
その回、ル・ポールは「あなたはファニーだし美しい。全てを兼ね備えているけど、長所を活かす方法を知らないみたいね」と評します。
そのように、S5でのアリッサは、やる気はあるけど苦手分野がはっきりしているクィーンだな、という印象でした。
しかし持ち前のちょっと大げさなリアクション(舌を鳴らすタンポップなど)がチャーミングだったり、何か面白いことがあると1人で笑ってたり、背中の肉を指摘されたり、鏡ばかり見ているのを突っ込まれたり……というちょっととぼけた魅力もあって、リユニオンの段階ではかなりの人気者になっていたことが伺えました。
例えば失敗の部類に入る香水のCMを作るチャレンジでの謎キャッチコピー「Alyssa's secret」(シークレットって何?と問われて答えられなかった)が受けて、100本以上もあるyoutube番組になってたりします*3。
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AS2の番宣で作られたS5のベストシーン集(公式)
All Stars2での面目躍如!
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All Stars2 のトレイラー
ドラァグレースには、それまでのシーズンに登場したクィーンたちが再集結して競う「オールスターズ」という番組もあります。
基本的な構成はドラァグレースと同じだけど、最後は勝者2人がリップシンクをしてボトムの中から脱落者を決める…というなかなかハードなルール*4。
そして私がアリッサにはまったのは、このオールスターズがきっかけでした。
まず第1話にタレントショーという、各人の得意分野を披露する回があるのですが、このアリッサがまさに水を得た魚だった。アラスカ曰く「これこそまさにアリッサ・エドワーズ」。
もちろん得意のダンスで挑んだんですけど、それだけじゃなくて「背肉は減らしてカムバック」などと自分をネタにした小話も混ぜてくる用意周到ぶり。しかもなかなか真似できないようなすごいスプリット技も入れてきて会場を沸かせます。得意分野だけあって表情は自信に満ち溢れていて、あーーこの人は本当にエンターテイナーなんだなと痛感した瞬間でした。
そして2話目のスナッチゲームもしっかりと準備してきていて、今度こそル・ポールを笑わせます。
さらにおそらく「alyssa's secret」の二の舞を期待して企画されたのかな…?と勘ぐってしまいたくなるCM制作チャレンジ(ep6)でも、自分のキャラクターを活かしたエナジードリンクのCMを作ってクリア。
この辺りで、審査員にウケまくるアリッサに対して「アリッサだからオッケーみたいなのが気に食わない!」と不満を貯めるクィーンもいるのですが*5、S5でのアリッサを見れば「アリッサだからオッケー」なんてことはないのがわかるし、そう見える状況に持っていけたのは間違いなくアリッサの成長なんですよね。
そしてそうやって突っかかられても、アリッサは「どうした?」「リラックスリラックス」みたいなリアクションで全然堪えてないのがすごい。
思えば喧嘩してた時のココにすら「これめっちゃ面白いんだけどww」みたいに話しかける人なので(それにウケてるのはアリッサだけだったりもしますが)基本的に気のいい人なのだと思います。
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ワークルームでパックをしてる姿を見たのはアリッサだけです笑
AS2後のインタビューでアリッサは、「S5の時にル・ポールにファニーと言われて混乱した。私は常にシリアスだったから」と語っています。しかしテレビで自分を見てみて、自らのファニーさに気づき、それを魅力に変える方法を模索して挑んだのがオールスターズだったのでしょう。
「スナッチゲームでルーを笑わせた、チェック! 今年は謝らなくていい。コメディチャレンジでも勝った。チェックチェック! ガンガン行くわよ」
このように自らに課題を課して、それをクリアしていくところが最高にかっこいいと思ったきっかけでもありました。
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S5からAll Stars2への変遷について語っているインタビュー
アリッサの人柄が見える「ダンシング・ドラァグクィーン」
netflixには、アリッサを主役にした「ダンシング・ドラァグクィーン」という番組もあります。これはテキサスで子どもたちにダンスを教えるジャスティン・ジョンソンの日々と、アリッサ・エドワーズとしての活動を並行して紹介する、ファンにとっては夢のような番組です。
それと同時に、この番組ではアリッサの家族の問題についても度々触れられていました。
幼い頃、父親にダンスを習うことやゲイであることを否定されたこと。きょうだい達の薬物問題や逮捕歴。身近に手本となる人がいなかったからこそ、家を出なければと思い、18歳でそれを実行したこと。
S5のuntucked*6に、アリッサの父親からビデオレターが届く回がありました(ep6)。そこであのいつも陽気なアリッサが涙を見せる場面があります。
オールスターズ2(ep7)に妹が現れた場面*7でも、アリッサは再び涙を見せます(実はその日がお母さんの一周忌だった)。
どちらも、アリッサの繊細な側面が見えて、とても胸を打たれる場面でしたが、この「ダンシングドラァグクィーン」ではそのような場面の背景が語られていたりもします。
だからこそ、家を買う場面(ep2)で「愛でいっぱいの家にしたい」と夢を語る様子がたまらなく愛おしく感じられたりもしました。
それから、この番組ではアリッサが恋には非常に奥手であることもわかります。
S5で「エクスタシーを感じている演技」を酷評されたりしていましたが、ダンシングドラァグクィーンで「仕事中心だからシングルなの」と話していたり、ep2でデートをしてみたけど全然話が盛り上がらなかったりする様子を見ているうちに、
そういえばS5のリユニオンで、衣装を酷評したサンティノ(審査員の1人)と「ホテルでも行って仲直りしなさいよ」とルーに茶化され、足をばたつかせて照れたりしていたっけ…と思い出し、かわいいかよ…と思いました。
「ウィッグはヒーローマント」
ダンスとの出会いは忘れもしない。新聞でダンススクールの広告を見つけて、おじさんの家で芝刈りをしてお小遣いをもらい、ダンスを習わせてもらった。
ダンスは自己表現の手段だった。言いたいけど言えなかったことが動きで表現できた。
昔の自分のような子どもに、ダンスで人生を謳歌してほしい。
ダンスとの出会いについてこう語っていたアリッサにとって、ダンススクールで子どもたちを指導することはとても大事な仕事なのだと思います。
ダンススクールのインスタなどを見ていても、子どもたちを指導することに本当に真摯に取り組んでいるのが伝わってくる。あと時折子どもに負けないくらいピュアで眩しいくらい…。
さらに、アリッサとしてドラァグをすることについてはこう語っています。
「アリッサは非常口のようなもの。エレベーターが壊れた時の階段みたいなものよ」
「例えるならブルース・ウェイン。日中は経営者の顔をしていて、講師であり指導者。そして夜はウィッグとメイクがヒーロマントなの」
ジャスティンとしてダンスの指導をすることも、アリッサであることも、彼が彼であるために必要不可欠なことだからこそプライドを持って努力するし、明るくハッピーであろうとするのかなと感じたインタビューでした。
ダンシングドラァグクィーンの1話目、ジャスティン(アリッサ)は「勝者は練習する、負け犬は文句を言う」と書かれたTシャツを着てダンススタジオに現れます。
私はいくつかの番組とインターネットの投稿を通してしかアリッサを知らないけれど、S5での悔いをオールスターズで覆してみせたアリッサを表している言葉だなと思いました。
本当にかっこよくてゴージャスで、大好きなクィーンです…!!