いちごが好きでもあかならとまれ。/雁須磨子

1996年の連載作品と1997年と2000年に書き下ろされた作品。でも全て同じ主人公によるひとつづきのお話です。つーか雁須磨子さんは絵柄がかわるなぁー。面影はあるけど、タッチがぜんぜんちがう。
うん、でもすごく面白かった。最初に読んでぐっときた「のはらのはらの」*1にとても近い雰囲気のお話で、幼なじみの男の子二人が、まあすごく仲良くって、で、なんか相手を意識しちゃって、という恋のお話です。
この、相手を意識する瞬間の描写っていうのが、たぶん私はすごく好きで、そこを丹念に描いているところが、身悶えしたくなるような……楽しさというか、浮き足立つことの気持ち良さを味わわせてくれる。
二人の恋愛を観察する大久保という登場人物をおいているところも、この(現実ではこわれやすいだろう)世界を頑丈なものにしていて安心だし、読者の立ち位置としても重ねられるとこが、とてもやさしい。
そして「秘密」を共有することが「絆」として機能するのは少女漫画の特徴の一つかもしれない、と思った。
しかし、「フライングボディアターック」って、これはすばらしいバカップルですね。あんまりにも楽しそうなので、なんだよもう、とか思う。いいなぁ、お忍び旅行。

*1:id:ichinics:20060619:p1