街角花だより/こうの史代

1995年から2007年までに書かれたシリーズと短編2作が収録されたこうの史代さん最新刊。

街角花だより (アクションコミックス)

街角花だより (アクションコミックス)

「街角花だより」は花屋さん “花ひわ” を舞台にした女二人の「相棒」もの。おっとりした店長と、ある事件がきっかけで仕事をクビになり、“花ひわ” で働くことになったりんのコンビがいい具合です。二人のキャラクターは「長い道」の道と荘介をまぜてバランス良く分けたみたいな感じで、その不協和音が時には和音になるような「長い道」に対して、こちらは和音で軽快なワルツを踊るような(表紙のイメージね)お話でした。なので、「毒」はひかえめ。
この本は新しいものから古いものへという順で収録されているのですが、絵柄があまりかわっていないので最初読んだときはわからなかった。でも、後半の「街角花だより」には最終話が2案収録されていて、この書き直しを読むと、前半の「街角花だより」がとても洗練されていることに気が付く。踏み込んでしまいたくなるところで引く勇気、とでもいうんだろうか。その見極めは、きっとすごく微妙な、勘のようなものに頼らなくてはならないものだと思う。定めてしまえば色あせるし、踏み込み過ぎると読者がついていけなくなる。
そのことをうっすらと感じ、そしてこの作品の後に描かれてきたものを思うと、こうの史代さんは、やはりすごい漫画家だなぁと思った。
そしてやっぱり、こうのさんの描くキャラクターが好きだ。