ラヴ・バズ/志村貴子

1、2巻の感想かいたとき完結してるって知らなかったから、3巻よんでびっくりした。

ラヴ・バズ 3 (ヤングキングコミックス)

ラヴ・バズ 3 (ヤングキングコミックス)

なぜプロレスをやるのか、という自問に「知らん、」と放り出す藤はたぶんきっと言語にすることにこだわらないタイプで、試合前の「このさ ドッドッドって 鼓動がはやまってく感じがさ やっぱたまらんよね/p40」という台詞のように、感覚的なものに支えられてるからこそ、よわくてつよい(まあおおむねよわい)、しなやかさがあるのではないかと思う。
23話、回想シーンのなかで色ボケに逃げる藤は、その言語化できないぶぶんを恋人にたくしてるような気がする。でもそれは、言語化とおなじくもろいもので、つまり「私のどこがすき?」*1という疑問に答えてしまうことで、それ以外の可能性を浮かび上がらせてしまう矛盾、と似ているんじゃないだろうか。
でも結局、藤はゆりが好きで、ゆりに認められたくて、でもゆりに夢中になってしまうのが(それは負けを認めることになるようで)こわかったんじゃないかなと思う。でもこう、ガツンとやっぱかっこいいゆりが、自分を見てくれたときの、そのときの藤の顔ったら! 具体的にいえば3巻の180ページのことですけど、ここ見て、あー「ラブ・バズ」は、「おおきく振りかぶって」にちょっと似てるなと思ったりした。顔のことじゃなくて、関係性にささえられる「好き」の多幸感っていうのかな。
だから頑張れる、っていうものがあるのは、うらやましいなと思いました。