バス走る/佐原ミズ

バス走る。 (BUNCH COMICS)

バス走る。 (BUNCH COMICS)

バス停をテーマにしたコミック・バンチでの連作と、他社で発表したものをあつめた短編集。装丁もこってるし紙も上等。カラーページも多い豪華な本です。
佐原ミズさんの描くお話には、基本的に悪い人がでてこない。お話もやさしいものがおおい。
この本に収録されてる短編作品では、ストーリーよりも、その空気感が印象に残るものが多くて、たとえば、この主人公はこの先としをとってもきっと、何度も繰り返しこの光景を反芻するんだろうなっていう、特別な瞬間ばかりが集められている。
特に良かったのは男の子と女の子の視点が交互に描かれる「ナナイロセカイ」の2編。どちらも、お互いに思いを寄せあっているのに言い出せない二人が、相手に告白するまでを描いている。目が、あったりあわなかったり。そらしたり追い掛けたりを眺めているだけで、なんかもう甘酸っぱさで胸がいっぱいになりました。