冬/晴れの日

気が付いたらすごくいい天気だったので、なにもかもを冬のせいにするのはそろそろやめにしようと思った。外にでなくちゃと思った。だっていい天気だし、梅も咲いてるし、日も長くなって得した気分だし。「雪が溶けて/僕たちは春を知る」なんて、懐かしい歌を歌いながら、何年経っても切なさを感じる部分はあんまりかわんないものだなと思う。
足下に届きそうで届かない日差しとか、そこに舞う埃の粒とか、人の少ない午後の電車とか。幼い子ははっきりうれしい顔するほうが多くて、あんまり照れくさそうな顔ってしないけど、大人のそれは子どもみたいで好きだなとか。いつだったか、人のいない動物園の食堂で食べたチキンナゲットの味はもう忘れてしまったけど、コーヒークリームのふたに書いてあった花占いのことは覚えている。日向で目を閉じる。缶コーヒーを飲む。夏になったら不忍池んとこでビール飲みたい。でもその前に桜。桜の花言葉はなんだろうな。
なんて、すっかり春気分でコート着ないで昼休み外でたらすごく寒かった。