- 作者: 安永知澄
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: コミック
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時代物から、SFまで、様々なジャンルの短編が次から次へと絵柄すら変えてたち現れ、しかし不思議な統一感がある。一篇読み終えるごとに、なんだかわからないようで、どこか知っているような感触が残るのが少し怖い。1巻冒頭の高速道路を流れていくライトの描写が印象的だったせいか、まるで走馬灯のような短編集だと思った。
もっとも好きだったお話は、上巻に収録されている「スパイラル・デリバリー」。
有理はただずっと自分のかたちを強く意識している
入ってきた 少し出ていった……
その繰り返しを
その果てに有理は有理以外のものをどこかに置いてきてしまった
この言葉の選び方もなのだけど、「かたち」を維持したいという気持ちと解けることの気持ちよさに感情が相反するクライマックスのコマがすばらしいと思った。
こんな光景を、私はもちろん見たことがないのだけど、この感覚は知っているような気がする。
そんな言葉にならない感触を描くのに、漫画はなんて雄弁なのだろう、ということを感じた作品でした。
- 作者: 安永知澄
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