SARU 上巻/五十嵐大介

五十嵐大介さんの書き下ろし新作。伊坂幸太郎「SOSの猿」(id:ichinics:20091208:p1)との競作、とあったので、てっきり漫画化か続編だと思っていたのだけど全く別のお話でした。しいて言えば、「SOSの猿」の中にでてきた、西遊記にまつわる部分で繋がっている感じです。

SARU 上 (IKKI COMIX)

SARU 上 (IKKI COMIX)

場所も視点も次々に変わるので、まだ映画のプロローグのような印象ですが、それでも物語中に引き込まれる魅力があるのは、シーンの切り替わり方や導入など、演出がうまいからだと思う。本当に独特な漫画を描く人だなあと改めて思いました。
ただ、ほんとどんな話になるのかまだよくわからない。なんとなくあらすじを書いてみると、《世界のあらゆる秩序を左右するほどの力をもつ「猿」がいる。その身外身(分身)のうち2体は、「猿」のもとに戻らずそれぞれ地球のどこかで進化を続けていた。うち精神を進化させた1体は、多くの人間の中に分散して存在しており、その猿の一部を宿した少女と、行動を共にするものたちが、出会った…》って漢字でしょうか。書いててよくわからない。そして、猿を宿した少女たちはエチオピアへむかい、一方「一体でも多くの猿を殺す」と宣言する謎の組織も動き始める…といったところで1巻が終っています。
ちょっと犬好きな監督を思い出したりしました。というわけで大人しく下巻を待つ。