「ぼくらのよあけ」1、2巻/今井哲也

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)

とてもよかったです。夏休みSFのわくわく感と切なさが詰まった作品だったと思う。
2010年の28年後から物語がはじまる世界は、オートボットという家庭用お手伝いロボットがいたり、学校の出欠も携帯端末のようなものでとっていたり「もの」は格段に進歩しつつも、人の生活は大きくは変わっていないように見える。子どもたちは「サブ」という、今でいう学校裏サイトのような場所で常時やりとりを続けていて、たぶん現代以上に同調圧力にさらされているように見える。
でもひとというのはいつの時代でも変わらないもので(というのはこの作品の中にも描かれているのだけど)、だからこそ子どもたちが出会い、挑戦するという夏休みの友情物語はどこか懐かしく読むことができるのだと思う。
読んでいてイメージが近く感じたのは細田守監督の「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」でした。あの作品の、ネット内の問題が、現実の日常風景と対比して描かれているところとかすごくわくわくしたんだけど、それは「子どもの世界」と「大人の世界」の対比でもあったんだと思う。この「ぼくらのよあけ」はそこに少しアレンジを加えて、つながっていく物語になっている。
それからもうひとつ、主人公とオートボットのナナコの関係は「ドラえもん」とも重なるところがあるんだけど、そこはもうちょっと、二人だけのやりとりを時間をかけて見たかったなって思ってしまうところもありました。
でもとても読み応えのある良質の夏休みSFだったと思います。
ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンKC)

ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンKC)