「未刊作品集 森」/岡崎京子

未刊作品集、ということで表題作の「森」は1話しか収録されていなくて、他にいくつかの短編やイラストが年代順に収録されています。できれば、岡崎京子さんの作品は全集とかですべての作品を年代順に読んだほうが面白いような気もするんだけど、それはともかく、この「森」を読んで改めて、岡崎京子さんの漫画って面白いなと思った。
コマ割りが動画みたいになめらかで、セリフの息遣いや、場面ごとの音の切り替わりまで聞こえるみたい。でも岡崎京子作品がそういうふうに描かれるようになったのはわりと後半のことで、それが1996年ということにびっくりしてしまう。

岡崎京子未刊作品集 森 (フィールコミックス) (Feelコミックス)

岡崎京子未刊作品集 森 (フィールコミックス) (Feelコミックス)

ところでこの「森」の第1話は、なくなった友人の恋人に偶然再会するところで終わる。他にもいくつかの共通点があって、つい「ノルウェイの森」を思い出すのだけど、そういえば村上春樹岡崎京子の組み合わせってありそうで今まで考えたことがなかった。
ただ二人とも、そのときの時代に寄り添ったものを描く作家だと思うし、だからこそ今いて欲しいなと思ったりもする。