カメラロール

雨の日、水たまりを踏まないよう、下を向いて歩いていたら道ばたにすみれが咲いているのを見つけた。すみれが自然に(植えられたものではなく)咲いているのなんて初めて見たかもしれない。そう思い、瞬間的に写真を撮ろうかなと思うが、傘を持っていて手が塞がっていたし、濡れたすみれをうまく撮れる気もしなかったので、結局やめた。
そんな風に、何かを見てすぐに写真をとろうと思うようになったのはたぶん携帯電話にカメラ機能がついてから、というより、ブログやSNSやメールなどに、写真を添付することが当たり前になってからのことで、
特に、誰か特定の相手に向けるでもなく、自分のことを話してもいい場、としてあるSNSやブログの存在が、写真での記録欲を増しているような気は、する。
とはいえ、iPhoneのカメラロールに入っている写真の8割は
撮ったきり誰にも見られていない写真、誰かに見せるために幾度か撮りなおした使わなかった方の写真、自分で見返すために撮った写真、それに送られてきた写真やtwitterを見ながら保存した画像、などがごちゃ混ぜになったもので、
もしかすると、今際の際にみるという走馬灯も、こんな感じなのかもしれないな、と思う。
いつでも遡れる。いつでもすべて消せる。大切にとっておきたい1枚、のような写真はないので、その代わりに日記を書いておく。