- 作者: 久保ミツロウ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/23
- メディア: コミック
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なんかモテキと一緒に草食系男子?という言葉を見るのですが、草食…というとどうも象とかキリンとかそういうわりと動きがゆっくりなイメージがあるので(それ草食動物だけど)この漫画の主人公とはちょっと違うような気もしました。わりと走ったりしてるし。
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「モテキ」は、これまで「たぶん俺はこの大都会東京で誰からも愛されず/できるだけ夢なんか見ないで期待なんかしないで生きていくんだ」と思っていた男の子に、ある日突然「モテ期」がくるというお話。モテ期というか、いろんな女の子から連絡が来るようになって、この子はどうだろーとか思いながらいろんな子と会いながら話が進行する。
もと同僚で音楽好きの女の子とフジロックで会ったりとか、数少ない女友達にかまかけてみたりとか、酒乱の女の人とかとかとか。描写がいちいち生々しくて面白い。
私が読んでてつらかったのは女友達のいつかちゃんのお話なんですが、それはいつかちゃんと推してる漫画が一緒…っていうのと、2人で遠出して水族館行って、
「こーゆートコ彼女と来たかった…俺の二十代最後の夏なのに……」
「知らねーよ 思ってても口にしないでよそんな事っ/フジ君みたいに女から何かしてくれるの待ち受けてるようじゃ一生彼女できないよ」
(略)
「俺だって好きな女がいたらウミネコ並みに動くっ 松岡修造並みに熱く動く!!/好きな女にしか俺は優しくしねーんだ!!女なら誰でもいいわけじゃねぇよっ」
「あっそ フジ君のポリシーだか知らないけど私のことぞんざいに扱う理由は分かったよ/でもね そんなんじゃ一生童貞だね」
(第2話)
って、このやりとりがなんかすごくつらかった…。
どちらかに感情移入してるというよりも、感情とか打算とかをそのまんまやりとりしている感じに気圧されてしまう。めんどくさいしこわい…とか腰が引けてる時点で、モテキに出てくる女の子たちに怒られるような気もするんだけど、そもそも青年漫画でこういう恋愛メインものってすごく珍しいような気がします。
ぱっと思いつくのは「花とみつばち」だけど、あれもこの「モテキ」も、女性作家が青年誌で描くからこその視点なのかなと思う。
かつて、少女漫画で描かれる恋愛の主流(というか多く)は、「冴えない私」が「選ばれる」お話だったように思う(id:ichinics:20070630:p2)。そこから安野モヨコの「ハッピーマニア」とか、「選ぶ」側に立とうとするお話が多くなってきて、このモテキはちょうど逆転して「冴えない私」の視点が男の子になっているんじゃないか、と思いました。