アイドルに浪費した日々

私が宮澤佐江ちゃんを応援しているという話はこの日記にも幾度か書いてきましたが、佐江ちゃんのアイドル卒業から1年以上が経ったことと、私の浪費対象がちょっと変化したこと、そして最近出た「浪費図鑑」という本が面白かったのもあり(同人誌版も面白かった!)、少し振り返ってみたいなと思います。

私がAKB48に興味を持ったのは2010年の第2回選抜総選挙大島優子さんが1位をとった、というニュースを見たのがきっかけでした。AKBって前田敦子がセンターじゃないんだ? 篠田麻里子ってかわいいけど3位なのか、云々、完全にネットニュースの上っ面だけを見て、飲み会で「私は篠田さんが好きだな!」なんて話していた記憶があります。
そのまま半年ほど、特に何もせずに過ごしていたのですが、丁度その年末に公開されたドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』を見て、完全にはまってしまいました。
それ以降は毎晩延々とAKBの動画を漁る日々。
正直、ドキュメンタリーを見に行ったときは映っているメンバーの半分もわかっていなかったと思うんだけど、YouTubeAKB48公式チャンネルでMVはほとんど見放題だったし、第1回じゃんけん大会の出場メンバー全員分の密着動画なんてのもあがっていて、あっという間にAKBに在籍している全メンバーの顔と名前が一致するようになっていました(たぶんその時点でAKBだけで70名近くいた)。
私が好きになった時点でAKBには膨大なコンテンツがあって、その多くが「ドキュメント」だった。
彼女たちがドキュメント(多くはメイキング動画と呼ばれるもの)で見せるのは、等身大のかわいさだけじゃない。大勢の中で埋もれまいと作戦を練る子もいれば、大人からの期待に苦しむ子もいる。率先して皆をまとめようとする子もいれば、いたずらばかりしている子もいて、得意なものを生かそうとする子、苦手を克服しようと頑張る子。皆と仲が良い子、1人でいるのが好きな子。
そういったまったく異なる性格の女の子たちが「仲間」として支えあっている。そんな彼女達の関係性に惹かれていったのが最初だったと思います。

まずはライブを見たいと思って運よくチケットがとれたものの、東日本大震災で中止になったこともあった。
災害報道の多かったあの年、私はyoutubeでアイドルばかりみていて、確実に、そのことに救われたと思っています。会社から徒歩で帰宅した家に、AKBの雑誌が転がっていて、家が遠方なためうちに泊まった先輩に笑われたのをよく覚えている。

私が初めて買ったAKB48のシングルは『Everyday、カチューシャ』でした。そして、このシングルには、第3回選抜総選挙の投票券が封入されていた。
投票券が入っているということは、誰かに投票できる権利があるということ。
「それなら、私はこの子の笑っている顔が見たいな」
そんな風に自然と顔が浮かんだのが宮澤佐江ちゃんでした。

投票するなら、少しでも上の順位になってほしい。そう思って調べているうちに、ファンクラブの会員権などでも投票できるということを知り、その年はたしか7票投票しました。

握手会

私が始めて参加した握手会(に近いもの)は、AKBの中のOffice48という事務所に所属しているメンバーで結成されていたDiVAというユニットの「スタンプ会」(メンバーが作ったスタンプを私物に押してもらえる)でした。
初めて生で見る宮澤佐江ちゃんは、冗談抜きにして「キラキラ光る粉がまぶされている」ようでした。ティンカーベルかな? と思いました。顔がすごく小さくて私の手のひらより小さいんじゃないかなと思いつつ眼が離せませんでした。
何を話したかはまったく覚えていませんが、順番ひとつ手前の位置で佐江ちゃんの横顔を見ていたときの視界ははっきりと脳内に保存されています。

そこからはもう、佐江ちゃん推し一直線でした。

私の考える握手会の最大の魅力は、何といっても「直接お礼や感想を言える」ということ。公演のダンスがかっこよかった、Mステでカメラに抜かれた時すごくかわいかった、こないだのモバメ嬉しかった、新しいシングルの衣装似合ってる、などなど。
ファンレターも書いていましたが、やはり直接ほめたかったし、それで少しでも喜んでくれる顔が見たかった。
気分は完全に「孫」の応援です。
正直アイドルはあまりにも眩しすぎて目の前に立つのはおこがましいと思うこともあった。
けれど、少しでも印象をよくしようと洋服を選ぶのは楽しかったし、アクセサリーを褒めてもらえたりした時はとっても嬉しかった。
「認知」欲との戦いもありました。
握手レーンに並んでいると、だんだんと佐江ちゃんに顔を覚えられているファンがいるのがわかってきます。中にはあだ名で呼ばれているファンもいる。
でも当時の佐江ちゃんは「超選抜」と呼ばれる人気メンバーで抽選方式の握手券はほとんど当たりませんでした。
そんな私でもいつの間にか顔を覚えてくれて、それはとても嬉しかったけど、でも私の最優先「現場」はやっぱり公演でした。

公演

AKBの現場は幾つかの種類に分かれています。

  • 公演…AKB48劇場でほぼ毎日(当時は)行われているチーム別のセットリストによる公演
  • コンサート…グループ全体でのコンサート。選抜が目立つ。
  • 全国握手会…店頭販売されるCDに封入されている券で参加できる、ミニライブ付きの握手会(1レーンに複数人いることもある/速度がはやいのでほぼ会話はできない)
  • 個別握手会…「劇場盤」と呼ばれる抽選販売されるCD1枚につき1枚握手券がついている。握手したいメンバーの名前で申し込む。

主なところはこの4つだと思います。
で、多くのファンにとってもっとも優先順位が高く、しかしなかなか行けないのが「公演」でした。
AKBは1期生によるチームA、2期生によるチームK、そして3期生によるチームBからはじまっています。
私が応援し始めたときはすでに第1回の組閣(チーム間シャッフル)を終えていましたが、2期生である宮澤佐江ちゃんはチームKのままでした。リーダーである秋元才加ちゃんの名前をとって「秋元チームK」なんて呼ばれてもいます。
当時は『RESET公演』という演目をやっていまして、これが本当に良曲揃いのいい演目だった。
当時は秋元康もちゃんとメンバーにあてがきした公演をつくっていたんですよね…。RESETという公演タイトルにもなっている曲は、第1回の組閣を終え、このチームでやっていくぞという決意の曲でもありました。

風を入れろ! チームよ、目を覚ませ! 今の場所で立ち上がれ!
風を入れろ! 今日からは新しい Oh 我らがチームK

組閣当時のことはあとで調べたことでしか知りませんが、当時の彼女達がこの歌詞で団結していったのだと思うと、今でもぐっときます。

しかし、当時の48Gは人気絶頂であったため、なかなか公演には当選することが出来ませんでした。
そして、そんなファンのために用意されているのがオンデマンド配信。なんと全公演リアルタイムで配信されているという至れり尽くせりぶりです。
さらに、何としても近くで見たいという気持ちになったときは、劇場ロビーに備え付けられたモニターで見る、ということもできました。なので当時は仕事帰りに劇場へ行って、モニターで公演を見たりもしていました。
正直、2時間近くある公演をずっと突っ立って見ているのって疲れます。しかも毎回同じセットリストです。
でも、それでも見たいと思うくらい、毎公演新鮮な発見がありました。今日はかっこいい風、今日はかわいい風、なんて公演ごとに見せ方を変えてくるのが佐江ちゃんだった。MCではふざけていても、曲に入るとドキッとするほどに表情が変わる。
そのスイッチが入る瞬間を見たくて、繰り返し同じ公演に申し込み続け、劇場に通い、通えない日はオンデマンド配信を見ていたのだと思います。

思えばこの頃が一番応援していて幸せだったなと思う。私は今でも秋元チームKが大好きです。

総選挙と選抜

私が初めて投票した第3回選抜総選挙で、佐江ちゃんは11位となりました。
当時は12位以上が「メディア選抜」という、いわゆる「選抜」としてテレビに出たりできるメンバーのはずだったのですが、それとは別に運営が推したいメンバーというのもあって、そういうときに漏れるメンバーというのが必ず出てきます。
そして次第に、佐江ちゃんがその「序列を下げられるメンバー」になっていきました。
初めて選抜から外れたのはたぶん、2012年1月に公開された『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』の主題歌になった『ファースト・ラビット』だと思います。
その後も、2012年2月の『GIVE ME FIVE!』では最後列、その次の史上最多の36人選抜だった『真夏のSounds good !』のジャケ写でも最後列。
そしてこの年の9月に、上海に新しくできるSNH48への「移籍」が発表されました。

しかし上海の劇場は待てど暮らせど完成せず、完成してもビザが下りないという理由で劇場に立つ事もできず、宙ぶらりんの状態が続きました。
当時のことはここに書いたので割愛します。

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そんな中、自分を含む「佐江ちゃん推し」は、少しでも日本での活動の場を作れたらと願い、選抜総選挙に熱を入れるようになっていきました。
思えば選挙結果が反映されていないということの憤りを選挙にぶつける、というのは矛盾しているような気もします。
それでも、運営が無視できないくらいのファンがいるのだ、と示すことさえできれば、何か状況が変わると信じていたのかもしれません。

そういったファンの意志表示のひとつが2013年1月に開催された『AKB48 リクエストアワー セットリストベスト100』でした。
これは48Gの人気楽曲をカウントダウン形式で発表していくコンサートで、佐江推しは『RESET公演』での佐江ちゃんのセンター曲『奇跡は間に合わない』に集中して票を投じ、結果、前年の24位から大きくジャンプアップして第2位を獲得します。
この時、『奇跡は間に合わない』のスペシャルパッケージで発売されたDVDボックスは今も宝物。
同年の選抜総選挙は10位。
どちらもファンにとっては「追い風」のつもりでしたが、2013年にステージの上の佐江ちゃんを見る機会は片手で数えるほどしかありませんでした。

アイドル以外の道

SNHでの活動が思うようにできない中、佐江ちゃんに大きな舞台の話が舞い込みました。地球ゴージャスプロデュース公演『クザリアーナの翼』への出演です。2014年はこれを皮切りに、SKE48チームSとの兼任、そして『AKB49 恋愛禁止条例』主役への抜擢など様々な活動の場が用意されるようになりました。
このあたりから、個人的な意識は「佐江ちゃんの卒業後」へ向いてきたような気がします。
SKEとの兼任については、ファンの間では賛否両論あったものの、結果としてメンバーには温かく迎え入れられ、個人的には良かったと思っています。
しかし何よりも『AKB49 恋愛禁止条例』での佐江ちゃんがすばらしかったことに私は感動していました。
佐江ちゃんの出る舞台を始めて見たのは2011年の『ダブルヒロイン』。これは当時の超過密スケジュールの中で行われたということもあり、本人も納得がいっていないようでしたが、正直なところ「推しが見れて嬉しい」以上のものではありませんでした。
しかし、『クザリアーナの翼』で、今まで苦手だったはずの歌を、しかもソロで歌う場面があり、その堂々としたパフォーマンスに正直佐江ちゃんにはまだまだ伸びしろがあるのだということを痛感させられました。
だからこそ『AKB49 恋愛禁止条例』は期待して見に行き、結果として期待以上のものを見ることができたと感じています。
『AKB49 恋愛禁止条例』は48Gをモチーフにした同名の漫画作品の舞台化で、出演メンバーはマネージャー役などを演じた男性以外はすべて48Gのメンバー。演技は初めてというメンバーもいる中、座長として彼らをまとめ、「男性だけど女性としてアイドルをしている」というキャラクターをまさに熱演していました。

ここで私はようやく、卒業後の佐江ちゃんの活躍を見たい、と思うようになりました。

アイドルでいてくれる間は、公演もある、コンサートや握手会もある、メンバーとのやりとりで日々膨大な情報が舞い込んでくる。
それはとても楽しい日々だけど、いつか終わりがくる。
でも、舞台に立つたびにきっと佐江ちゃんは新たな「成長」を見せてくれると信じることができた。だから、アイドルを卒業してしまっても、私は彼女を応援し続けたい。

そんな風に心の準備ができてきていたので、佐江ちゃん自身が「今年が最後の選抜総選挙」とアナウンスしてくれた2015年の選抜総選挙には心置きなく、自分比で過去最多の票を投じました。
もう卒業するのに矛盾しているようですが、それはアイドルでいてくれたことへの感謝の気持ちでした。
そして、そう思ったファンはきっと多かったのだと思います。
結果は過去最高の8位。
そして翌年2016年の4月1日、チームK2期生10周年記念特別公演をもって、佐江ちゃんはアイドルを卒業しました。

浪費の振り返り

SKE時代は公演への遠征(愛知県栄に劇場があります)や、握手会が48GのものとSKEのものとで倍に増えたこと(※この頃には比較的握手券がとりやすくなっていた)で、一番浪費していたと思います。

握手券は1回11枚までと決めていて、1、3、3、3、1で出すのが最高パターンだと思っていました。
最初の1枚と最後の1枚は挨拶、3枚出しなら3往復くらいの会話ができるので、公演の感想を話すのはその時、という具合です。
それがだいたい月2回くらいだったのと、後はコンサートと選挙関連でしょうか。(※グッズはあまりかわいいのがなくほとんど手を出しませんでした。佐江ちゃんオタは女性が多く、顔写真がプリントされただけのグッズを購入する人はとても少なかったため、そういうところが序列を下げられる原因では?と議題にあがることも多々ありました)。
選挙は1票=CD1枚の値段、だと思っている人が多いと思いますが、実際はそれだけではありません。より安価に投票できるモバイル票や、握手はしたいけど選挙には興味がない…というファンが流す「投票券」のみのやりとりというのもあり…と説明し出すときりがないのですが、各陣営ごとに力を入れているポイントが違ったと思います。
正直、選挙は必ずしも「推しの活躍の場が増える」という意味での報われ方をするものではないと思います。
けれど時にはそれが推しの「自信」や「支え」になることはあると思う。

去年の総選挙からの一年間、どんな時でも私を支えてくれ、自信を持たせてくれたのはファンの皆さんです。
去年の総選挙の結果が、この一年間私を強くさせてくれました。
総選挙。|宮澤佐江オフィシャルブログ「おやすみなさえ」Powered by Ameba

ほとんどステージにあがることができなかった2013年、ファンも試行錯誤していましたが(佐江ちゃんが参加すらしていない中国版のCDを買ったときはなんだか悲しかった)、この言葉をもらえたことで、選挙頑張ってよかったな、と思えたのを覚えています。

そのお金を別のことに使う方がいい場合ももちろんあるけれど、あの時はそうしたいと思ったし、今でも悔いはありません。総選挙に参加するのは「佐江ちゃんの笑顔が見たい」から。それは、最初から最後まで変わりませんでした。

私の48Gでの主人公はずっと佐江ちゃんでした。
そして今は、舞台を中心に活躍している「宮澤佐江」さんを応援しています。

心の隙間

なんてまとめてみましたが、それでもやはり「卒業」は寂しく、そんなときは心にぽっかりと穴があくものです。
そのせいか、佐江ちゃんの卒業発表とほぼ時期を同じくして出会った次元の違う新たなコンテンツに私はすっかりはまってしまいました。
なので、現在は佐江ちゃんと才加ちゃん(ここではあまり触れていませんが私のもう1人の推しです)の舞台を追いかけるのと同時にそちらをメインに活動しています。
そちらも供給がとても多く、推しを知るために学びたいことも次々に出てくるので、毎日が楽しいです。
疲れたな~とか思ったときも推しのことを考えると元気がでるし、今後の活躍を見るまで死ねるかと思う。
そんな風に、ときめきに力をもらいながら死ぬまで好きなものを追いかけていきたいと思っている。
だから、今後も「節約したい」という気持ちと「好きなものには糸目をつけたくない」という気持ちを共存させながら、生きていくのだと思います。

浪費図鑑の感想とあわせて書こうと思ったのですが、ものすごく長くなってしまったので、それはまた改めて。

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