ハサミ男/殊能将之

ハサミ男 (講談社ノベルス)
ハサミ男をやっと読了。
映画を見て面白かったので読んでみたんだけど、やっぱり順序を間違えてしまった気がする。
「すごく面白いんだけど感想を話すとネタばれになるから言えない」のは映画も小説も同じ。でも。やはり先に小説があるものだけに、映画版は小説のあらすじを知っている人にも楽しめるように工夫されていたんだな、ということが読んでみて分かった。映画見た時の感想には「原作に忠実ではないみたい」と書いたけれど、原作を読んでみると、ある一点を除けばかなり忠実な映画化だったと感じました。
原作者の殊能さん自身がファンであり太鼓判をおしたというだけあって、池田敏春さんの映像は原作の世界をより奥深く雰囲気のあるものにしていたと思う。ちょっと美化されているところもあるけど。

小説版「ハサミ男」の本筋以外での感想としては、新米刑事磯部とベテラン村木の会話など、ところどころに著者の美学が伺えるのが興味深い。

「おまえに求められているのは、俺と同じ直感を身につけることじゃない。お前自身の物の見方を貫くことだよ」

良い上司だな。

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今さらですが、冒頭の引用句を見て初めて「ハサミ男」のタイトルがXTCのシザーマンからだと知りました。それで久しぶりに「Drums & Wires」を出して聴いてみたりしたので、読んでる間中ずっと頭の中をまわってた。
ところでマザーグースにもハサミ男ってでてきたような気がするけど、それも関係あるのかな? 小さい頃よく母親が弟に「はだかでうろうろしてるとハサミ男がくるよー」と言ってたんだけど、それの元も外国の絵本に登場するハサミ男でした。日本での「なまはげ」みたいなもんなのだろうか。